好きな人が振り向いてくれそうにないんです。

「コレットは優しすぎるのね。もっと強引に攻めてみてはどう?」

リフィル先生はそう言った。
そういうものかな、としいなに聞くと、

「あ、あたしはそんな色恋のことなんか、わかりゃしないよ!」

って。
プレセアはどう思う?

「女性から強引に攻めて成功したケースはけっこうあるみたいですよ」

って言うんだけど。

「そうかもしれないけど、でもやっぱり男が女の子をリードするものだよ!」

でもジーニアスはできてないよね?

「うわっバカ!コレット!そんなこと言っちゃダメだって!」

じゃあ、ロイドはどう思う?

「や、まぁ確かにジーニアスは……え、そっちじゃなくて?えー……相手によるんじゃないか?」

そして最後は皆ここにたどり着くの。


「で、相手は誰?」





神子の恋、天使の愛





「だそうです」
「……神子は私にそれを聞かせてどうする気だ?」

クラトスはただただ深く溜め息をつくばかり。
そんな彼に、コレットは不思議そうに首を傾げた。

「どうもしませんよ?」

ただの報告です、とコレットは笑った。

「でも、少しは私が本気だってこと、伝わればいいなとは思います」

笑みが少し淋しそうで、クラトスは黙る。
こんなに若い神子が、何千年と生きている天使に恋するなど、信じられるわけがないと思っていた。
あったとしても、それは憧れだ。

「質問を変えよう。神子は私とどうなりたいのだ?」
「……恋人になれたら素敵ですよね。でもまず私を少しでも好きになってほしいです」

私を見て、私に笑いかけて、私に優しい声をください。
難しいことはわかってるけど、少しでも望みがあるなら。

「……すべてを叶えてやることはできない。」
「……そ、ですよね」
「私は笑うのは得意ではないし、声も優しい類いではない。だが神子が望むなら、見ることくらいはできる」

そう言うクラトスの声は誰より優しく、口は笑みをたたえていて、瞳は真っ直ぐコレットを見ていた。
予想だにしなかった願いの成就に惚けるコレットの頭を、クラトスの大きな手が撫でる。
その仕草はまるで我が子に対するかのようなもので。
それでもコレットは嬉しくて、満面に笑みを綻ばせた。







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53000番キリリクで桐花さんに捧げます。

2010/09/10
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