たまに、本当にたまにだけど、おっさんは凄いと思うときがある。





そんな男に羨望を抱く





テントを張って、各々眠りにつく時間。
お子様組や育ちの良いお姫様は、見張り当番じゃない日はお休み三秒だ。
フレンは一通り辺りの警戒をしてから静かにテントに入る。
レイヴンはお子様が寝てからのお楽しみだ、と酒を取り出し騒ぐことが多い。
ジュディはそれに付き合ったり付き合わなかったり様々だが、大半は散歩に出ている。


しかし、ごくたまに静かな夜が現れる。

「ちょっとだけ、ね」
「うん、おやすみジュディスちゃん」

男女のテントをわけてあるにも関わらず、おっさんの肩に寄りかかって眠るジュディを見たのは、これで何度目だろうか。
焚き火から少し離れた所で、誰にも見つからないようにただ二人寄り添い目を瞑る。

ふだんふらふらしてるくせに、たまにこうして頼れる大人になるおっさんが、嫌いになれない。
オレにはできないことを、あっさりやってのけやがる。
ジュディを甘えさせてやる、なんて。


ジュディが甘えたい時、というのはなんとなくわかる。
彼女の性質は自分と近いからか、彼女がどうしたいか、何を考えているか、全くわからないわけではない。
だが似ているからこそ、そっとしておいてほしいのだと思い込む。
実は心に誰かが踏み込んでくるのを待っている、というのもわかってるのに、だ。
どう踏み込めばいいのかがわからない。
これがカロルやエステルたちならばどうにでも踏み込むことができるだろう。
だが惚れた女にそれができないだなんて、情けない。

そこはやはり人生経験の差、なのだろうか。
レイヴンはジュディの心を無防備にする。

正直、悔しい。
オレじゃなくて、あんなおっさんがジュディを支えてるなんて。
が、彼女のことを想うなら、きっと任せるのが正解なんだろう。


オレが願うのは、彼女の笑顔と、せめてオレの見てないとこでやってほしい、ということに限る。







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ぐるぐる嫉妬しながらも諦めてる青年。
もっと悩むがいい。←

2010/08/23
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