じめっとした空気が肌にまとわりついて、汗はなかなか乾かない。
この時期の稽古はあまり好きではない。
なんとなく気持ちが欝になって、集中できないというのもある。
「私もあまりこの時期は好きじゃないです」
総司が笑って言った。
「だって雨ばっかり降って、外で遊べないじゃないですか」
「お前は病人なんだから、もともと外で遊べないだろ」
そうつっこむと、まぁそうなんですけど、と総司は困ったように笑う。
「好きなとこもありますけどね」
問うと。
「紫陽花が咲くじゃないですか」
この時期にだけ咲く、『無情』の意を持つ花。
総司がそれに惹れるのは、昔から決められていたのだろうか。
2007/07/05
×