「馨、今日おいしそうだね」
「はっ!?」
セクハラ発言かと思いました。
イヤ、本当に。
いちご味
(ああ、苺好きなんだっけ)
ハルヒの視線が自分の着ている苺柄のシャツに向いているのに気づいた馨は、それでも顔に熱が集まるのをとめることができそうになかった。
(これだから天然は……困っちゃうよネ……)
軽く溜め息を吐く。
「どうかした?」
「いや、別に……」
そこまで言って、何を思ったか馨はニヤリと笑った。
「ねーハルヒ。そんなにおいしそう?」
「え?うん……」
「じゃさ、食べてみる?」
「え?」
何を言われたのかわかっていないハルヒに微笑み、馨はハルヒの頬を優しく包んだ。
彼女の顎に指を添えて上を向かせる。
そして縮まる二人の顔の距離。
柔らかく、温かい。
「……な、何!?」
「だって僕、おいしそうなんでしょ?」
馨の悪戯な微笑みを目の前に、顔が真っ赤に染まっていくハルヒは自分の言葉が足りなかったことに気づいた。
「それは!そのシャツのことで!」
「知らないモ〜ン」
「!馨、わかってて……!?」
「なんのこと〜?」
何を言っても軽くかわす馨に、ハルヒは溜め息を吐いてあきらめた。
そんな彼女の様子に馨はまた笑う。
「ね、ハルヒ」
「?」
「おいしかった?」
「……わかるわけないじゃん、バカ」
拗ねたハルヒも可愛いなぁ。
そんなことを考えながら、馨は言った。
「じゃ、もう一回だネ☆」
それは苺よりも甘い、甘い。
2007/08/22