ブルブルと震えている彼女から

くしゅんっ

と、可愛らしい





雪の国にて





普段は露出度の高い服を着ているルウだが、今はイオスのマントを借りてくるまっていた。

「うぅ……寒いぃ……」

先程から何度聞いたか、このセリフ。聞き飽きたのは間違いないのだが、彼女の声自体はちっとも聞き飽きない。
しかしそんなに寒いだろうか、と思う。

「今日は暖かい方だよ」
「うそっ……!?」
「そりゃ、ゼラムとかに比べたら寒いけどな」
「……あの戦いの間に何度か来たけれど、今日が一番寒いわ……」

じゃああの時は、イオスたちに言わせたら暑いくらいだったのかしら……、とルウは呟いた。
もちろん寒いと感じてはいるのだけど、とイオスは苦笑する。
そして昔の自分を思い出した。

仲間の仇を討つために、帝国からこのデグレアにやってきた。
初めはこの寒さに驚いた。
それでも一月、また一月と経つうちに慣れ、人間の適応力とは侮れないと思ったものだ。

「そのうち慣れるよ」

たぶん、だけれど。
そう言いながらイオスはルウの右手を優しく包む。

「だといいけど……」

ルウはイオスの手を握り返した。


とりあえず、まずは服を着込むところから始めよう。







2007/07/03
2008/03/01 加筆修正

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