跡部side
今日も三校のサポートに走り回る志帆。
時計を見るともう“約束の時間”だった。
俺は練習時間になったが、宿舎の入り口に向かう。
しばらくすると、車が着た。車の中から降りてきたのは俺の良く知る人物。
「久しぶりだな」
「ええ。元気?」
「あぁ。お前は?」
「私も元気」
軽く言葉を交わして志帆がいるであろう部室の扉に手をかけた。
「お前ここで待ってろ」
扉を開く。中には志帆がいた。
ドリンクとタオルの準備を一人でしている。俺にはまだ気付いていない。
「志帆」
名前を呼ぶ。
驚いてこっちを向いた志帆は俺に早口でこう言った。
『跡部部長!!?もう休憩の時間ですか!!?すいませんまだ終わってないです。』
「いや違ぇよ。お前仕事大変か?」
『はい。もう二人…ていうか一人だけじゃ追いつきません。』
お前の言う通りだな。二人いるはずのマネージャー。そのうち一人は全く使い物にならねぇんだ。
実質上一人で仕事してんだよな。
ただ、それを真顔で言ってのけた志帆が面白くて俺は口角を上げた。
「そうか…。お前に助っ人だ。入れ」
俺の隣にいたやつを前に導く。
その姿を見た志帆は目を丸くして、息を呑んでいた。
********
「志帆ちゃん」
『なかたに…先輩……』
目の前にいたのはかつて一緒に仕事をしていた中谷先輩。
長かった髪をバッサリ切ってしまったけれど、中谷先輩の大人っぽさはさらに磨きをかけていた。
『先輩どうして…』
「助っ人。景吾に呼ばれたの。」
『すけっと………』
駄目だ。まだ頭がぐちゃぐちゃで整理がつかない。助っ人?何で助っ人?
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