『ドリンクです!!ここに置いておくので各自取ってくださいね!!それから空のボトルはこっちの籠に、タオルと一緒に入れてください!!』


氷帝の所にドリンクとタオルを渡し(置き去り)部室に戻って籠を抱えて今度は青学の方に走った。

途中で柳生先輩(黒)が大丈夫ですか?と声をかけてくれた。今の柳生先輩は紳士だ。

切原君と柳生先輩は氷帝のコートで練習している。



立海の人に睨まれている気がするけど無視無視…。



『ドリンクです…ここに置いておくので各自取っていってください。』



氷帝の時とは違って、声が出なくなってしまった…情けない。
案の定立海のドリンクは水澤先輩に取られた。



「ちょっと待てよ」

『…はい?何でしょうか』



急いでるんだけど呼び止めないでよ!!
青学コートの前を通りかかると、誰かに呼び止められた。

菊丸先輩だった。



「このドリンク不味いんだけど。」

『だから……っ!!?』

「俺お前の作ったやつ要らないから。」



菊丸先輩はあろう事か私にドリンクをかけてきた。
冷たい。幸い夏だからすぐに乾くとは思うけど…。


『そうですか。でも水分補給はしないと体壊しますよ?
つまらない見栄を張ってテニス出来なくなってもいいんですか?』

「…っ!!いい加減にしろよ!!!」

『あっ…』



菊丸先輩は私に向かって腕を振り上げた。
やばい、あたる。
思い切り目を瞑った。


「これはやりすぎじゃないっスか?」

『え、桃城君……』


一向に来る気配がない痛み。
不思議に思って目を開けると、私の前に誰かが立っていた。

それは同じ学年の桃城君で、彼は菊丸先輩の腕をガッシリつかんでいた。


「大丈夫か」

『あ、うん大丈夫…』

「これ着とけ」

『え、いいよ!!濡れるよ!?』

「かまわねぇよ」


私の後ろには海堂君がいて、ドリンクで濡れた体を心配してか、羽織っていたジャージを被せてきた。


「何だよ桃!!こいつの味方すんのかよ!!」

「そっすね。つか菊丸先輩大人げないっすよ。年下のしかも女に手出すなんて」

「〜〜〜!!!もういい!!!」


菊丸先輩は怒って向こうに走っていってしまった。


『ちょ、桃城君!!何してんの!!?』

「助っ人?」

『聞かれても困る』

「それより風呂入ってこいよ。そのまんまじゃ風邪引くぜ?」

『今夏だしすぐ乾く……へっくしょい!!!』


「……入ってこいよ」

『うん…そうします。』




どうやら桃城君と海堂君は私の味方みたいです。









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