『うわぁ、大きい!!』

「せやろ?」


名前はとても興奮している。
俺が連れて行ったたこ焼き屋は、四天宝寺テニス部行きつけの店。

店のオバチャンが、あら蔵君。ガールフレンドやっと連れて来たのね。奢ったるわ!!と言って、二人分作ってくれた。なんて太っ腹!!
てか、まだガールフレンドやないんやけど。

オバチャンに渡されたたこ焼きは、名前にとって東京にいた時には見たこともないサイズのものだったらしく、そのため彼女はこんなにも興奮しているのか、と納得した。

確かに、この大阪でもここのたこ焼きはデカイ。

感動しつつ、たこ焼きを一つ口に入れた名前。
大きいうえに、とても熱いのかしばらくはふはふしながら食べていた。



俺は猫舌なので、フーフーと息を吹きかけて冷まし、口に入れた。大きなたこと、とろとろアツアツの生地。そして表面はカリッカリ。

ビックリする位美味しいこのたこ焼きは、学生の味方やねん。

しばらくしてから、名前は更に興奮してオバチャンと話し始める。


『オバチャンすごい!!こんなに美味しいたこ焼きは初めて食べた!!!』

「本当かい?嬉しいわぁ。またおいで。サービスしたるわ」

『わーい、ありがとう!!あ……おおきに、のほうがいいのかな?』

「ハハッ、オモロイなぁお嬢ちゃん。オバチャン気に入ってしもたわ」

『おおきに!!』



名前と、店の前に設けられているベンチに座る。俺はアツアツのたこ焼きを息で冷ましてまた食べる。

視線を感じて隣を見ると、名前がジッとこちらを見ている。


「ん?何や、じっとこっち見て」

『いや、なんだか白石君可愛いね』

「可愛い?そら俺やのうて自分やろ」

『その“自分”ってややこしいね』

「そうか?」


俺のどこが可愛えねん。
大阪弁にまだ慣れないらしい名前は、不思議な顔をしている。

なんだかその顔が無償に可愛くて俺は抑制が利かなくなって言ってしまった。


「なぁ。名前ちゃん」

『何?』

「好きなんやけど」

『うん、私も好きだよ』

「え、ホ、ホンマか?」

『うん。』





な、ななななな…、何てアッサリ告白がすんでしまったんやろうか。
俺は名前ちゃんが好き。
そして名前ちゃんも俺がす、好き?

何やねんそれ!!もっと早くに言うべきやった!!!


「名前ちゃん、あのな……『東京にいたときからたこ焼きは好きだったんだ!!』……は?」


た、たこ焼き?
あれ、さっき言ってた“好き”って俺がじゃなくてたこ焼き?


「名前ちゃん…?」

『ん、なぁに?』

「名前ちゃんが好きなんはたこ焼きやんなぁ」

『うん、たこ焼き好きだよ』


アカン、やってしもた…。何て恥ずかしい勘違いをしたんや俺は。
アホやん。正真正銘のアホやん。

うわっ、恥ずかしっ!!!





『でも、白石君の事も好きだよ』

「え…?」


そんな奇跡みたいな台詞に、俺は吃驚して隣でたこ焼きほお張っとる苗字さんに目をやる。
名前ちゃんの頬はほんのり赤かった。



屋台のオバチャンは、ニヤニヤしてこっちを見ていた。






《名前ちゃん、俺も好きやで!!》
《さっき聞いたよそれ》
《青春やわぁ…。オバチャンが、出来立てカップルにもう一個オマケしたるわ!》
《《出来立てカップル!!?》》




*************
しゅけ様リクの白石でした!!
遅くなってしまって本当に申し訳ありません!!

では、リクエスト下さったしゅけ様。ありがとうございました!!!

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