『もう、一年ですね…』
「うん、そうだね」
ここは誰も居ない屋上。私とジロー先輩しか居ない。だって今は授業中だから。
校庭で体育やってる声が聞こえる。
お弁当をジロー先輩と屋上で食べていたんだけど、眠くなったジロー先輩に膝枕してたら私も眠くなっちゃって、気づいたらもう授業が始まっていた。
しかも起きたら、私がジロー先輩に膝枕をしていたはずなのに、いつの間にかジロー先輩の膝を枕にして寝ていた。
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いつの間にか寝ちゃった苗字を起こさないように膝枕をした。
相変わらず間抜けな寝顔だなぁ
俺が名前と会ったときもこんな顔して寝てた。この屋上で。
俺が名前と出会ったのは中三の時。
午後の授業サボろうと思って屋上にきたら、俺の特等席に誰かいた。
制服を見れば、女の子だって事ぐらいすぐに分かった。
けど、もしこれがジャージとかだったらきっとわかんなかったと思う。
その時の名前は、肩につくには程遠い髪の長さで、しかもアホ面で大の字になって寝てたから。
好奇心に駆られて俺はその女の子の傍にずっと居た。別に話した事も、まして見たこともない女の子なんだけど、早く起きてくれないかなぁって思った。
その寝顔は笑うとどんな顔になるの?
君はどんな声で話すの?
もっと君の事、知りたい
だから……
「早く、起きて……」
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『ん…、』
「起きた?」
『え、誰?』
目を覚まして最初に見たのは知らない金髪の男の子だった。え、誰?てか、何でここに。
「俺は芥川慈郎中三。よろしくね名前ちゃん」
『はい、よろしくお願いします』
ん…?いや、待て待て待て
『何で私の名前知ってるんですか?』
「ポケットに生徒手帳入ってたC」
『あぁ……生徒手帳か』
「大の字になって寝てたからとりやすかったC」
『だ、大の字!!?』
そんな格好して寝てたのか。恥ずかしいな…
『それより、何でここに?今授業中ですよ?』
「名前ちゃんこそ、授業中だよ」
『今、自習時間なんです』
「ふ〜ん。ココ気持ちいでしょ?俺の特等席なんだ」
『はい、とっても。でも、私の特等席でもあるんですよここは』
「そっか。じゃぁ、これからココは“二人の特等席”!!!」
『はい!!』
これが私とジロー先輩の出会い。
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