闘争心


「ちゅー訳や………って、どないしたんや」

『いや、だって…』


あんな後先考えずにやったお節介を覚えてるなんて!!
あぁあああ!!なんて浅はかだったんだ私!!


「お前、昔から変人だったんだな」

「テニス部でちゃんとマネージャーやってる時点で結構変わってるけどね」

『あれは無理矢理チョタが誘ったんじゃん!!』

「あれ、そうだっけ?俺は日吉にどうしても志帆ちゃんにしてくれって頼まれたんだけどなぁ」

「それ以上言ったらぶっ殺すからな」


チョタと日吉の言い合いが始まったと同時に船曳さんの携帯が鳴った。
相手はどうやら西園寺さんらしい。



「……了解、ほな切りますわ。
何喧嘩してんねん。西園寺さんも準備出来たらしいから、うち等も行くで」




西園寺さん達がいてくれるのは本当に心強いけど、怖い…

もし、わかってくれなかったら。
もうあの頃に戻れなくなったら。





「何、下向いてんだよ」

『うわっ…!!』


日吉が髪の毛をぐしゃぐしゃにしてきた。
あぁ、もう…せっかく今日は寝癖がなかったのに…



「主役はお前だろ?何、下向いてんだ、シャキッとしろよ」

「大丈夫だよ、絶対に元に戻るから。」

『うん…』






皆がいれば大丈夫。
日吉が居てくれれば、大丈夫




私の中の闘争心が、重かった足を前に進ませた。


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