もうひとつの証拠



「そうですわねぇ…、もうひとつ位何か証拠が欲しいですわね…」



次の日の作戦会議。

私は西園寺さんに昨日のものを聞かせた。
日吉やチョタも同様に、まだ証拠が足りないと思っているらしく顔をしかめている。


「ありますよ、証拠なら」


後ろから声がして振り向くと船曳(ふなびき)さんが扉に寄りかかっていた。(彼女とは一年の時同じクラスだった。)



『え、何で船曳さんが』

「ウチの役目は情報収集と証拠集めやねん。あれ、聞いてへんの?」

『聞いてない…』

「それより船曳さん、証拠とは?」

「あぁ、これです」


そう言って船曳さんが差し出したのはたくさんの写真。
そこに写っていたのは部室の個人ロッカーを漁る中谷先輩の姿。


「朝撮ったのをさっき現像したんや。ようけ撮れとるやろ?」

『すごい…』

「感心してる場合ちゃうやろ。これ朝撮ったんやで?ちゅーことは今日の放課後に何かあるはずや。」

『あっ、そっか…でも大丈夫だよ。
日吉もチョタも樺地も宍戸さんもいるし、船曳さんも西園寺さんもいるから』

「そうですわね」

「おん、任しとき」

『2人共ありがとう』




西園寺さんは笑ってどういたしましてと言い、船曳さんはグシャグシャと頭を撫でてくれた。(船曳さんはとっても男前だ。)


「と言うわけで、決着つけましょう?」

『ぶっ飛びすぎじゃない?』



もう放課後に何か起こることは決定事項らしく、この機会を利用して決着をつけようという話にいつのまにか。



「確かに今が一番最高なときだな。この機会を逃したら不利になるかもしれない」

「宍戸さんにも協力してもらう?」

「いや、俺たちだけでやろう」


「じゃあ、私は放送室でこのボイスを流す準備をして参ります。
準備が完了次第ご連絡しますので、ここで待っていてくださいね」


『西園寺さん!!』

いろんなことが短時間のうちに決まって実行される。
そもそもこの事件の渦中にいるのは私で、その私が最も足手まといになってる…


何か、出来ること…
私が皆に出来ること、探さなきゃ




『あのね、何か手伝えるこt…「如月さん」え、あ…はい……』

「一言、頑張ってと言ってくださいませんか?」

『え…?』

「いけませんか?」

『………さ、西園寺さん…頑張ってください』

「はい。行って参ります」



ニッコリ笑って西園寺さんは教室から出て行った。
その強くて凛とした姿は、私にはないものだった。


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