俺は何も知らない



「宍戸最近どうしたんだよ。付き合い悪くねぇ?」

「そうか?」



休憩時間、志帆は鳳の言葉通り俺達にドリンクを作らなくなった。そのため俺達は自動販売機のスポーツドリンクを飲んでいる。(正直言ってまずい)

俺はペットボトルに口をつけたまま宍戸を見た

確かに、向日の言った通り最近宍戸の様子が気にかかる。
特に何が変なのかわからないがとにかく変だ。

練習も自主練が多くなった。俺たちと話すことも少なくなったように思う。

この休憩時間にだって一人で何処かに行こうとしている。
それに、あいつは紗江のドリンクを受け取ろうとしない。



「オイ、宍戸。お前、紗江のこと裏切んのか…」


考えたくない結論。否定ほしい結論。
俺は宍戸を睨みつける。宍戸は俺をまっすぐ見て言った。


「……お前らだって、いつか紗江を裏切んねぇといけねぇ時がくる。
俺はお前らより先に真実を知った。ただそれだけの事だ。」

「てめぇ!!!」

「やめぇや跡部!!」

「俺様に指図すんな!!紗江を裏切る奴は誰だろうと許さねぇ!!!」

「お前だって!!!跡部だって…
真実を知れば、裏切らなきゃなくなるんだよ……」



宍戸に対する怒りはあいつの顔を見た瞬間疑問に代わった。
コイツは何を知っている?



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