痛みと引き換えに
『ゆ…う、と』
鬼「名前…?」
『有人…』
鬼「い、今引き上げる!!」
『うん』
あのふわふわした感じから開放されても、なんだかまだ不思議な感じは続いてて…
腕の中でうずくまってたウサギは
飼育委員の所へ帰っていった。
鬼道君も私も何も言えずにいた。
だけど手だけはずっと握り合っていた。
先に沈黙を破ったのは鬼道君だった。
鬼「名前…
お前、もしかして記憶が戻ったのか…?」
おそらく彼は、さっき私が“有人”と呼んだのを聞いて言っているのだろう。
戻ったの、かな…?
自分でもよくわからない…
鬼「名前…もう一度呼んでくれないか?」
『有人…
っ…』
急に暖かいものが体の内側に広がる
と、同時に頭に激痛が走った。
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