罪と罰と紅。(グレマダ)

・一万打企画より、赤主従。
・個人的な見解含めまくりなので要注意。
・流血表現有
・シリアス

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確かに其処には憎悪と情熱、そして真紅しか無かった。
燃える様に只憎悪を抱いて、きっと心は泣いているんでしょうけど彼女はその度に鮮血を浴びるものだから哀愁と憎悪、そして情熱。それらが混ざった様に言葉にし難い美しさを彼女から見出して一目惚れ。始まりなんて単純なモンよ。死神はそう言って笑った。


「ダメ、…殺せない。」

殺せない、殺せないわよ。あれだけ憎くて大好きでたまらなかった姉さんとあの人の面影が脳内を支配してただただ、封印していた愛という情が溢れ出る。ナイフが地面に落ちると虚しくて、哀しくて、寂しくて。娼婦を殺し続けて赤く染まっていこうが何も満たされなくて。


「何言ってんのよ、マダム!そいつを殺さなかったらアンタが殺されんのヨ!」


だってこの子は私の大切な甥っ子だもの。なんて言い切れずに口の中からは鉄の味がした。身体が燃えているみたいに熱く痛い。皮肉だけれどその痛みで嗚呼生きているんだと、きっと思えたに違いない。アンタのお陰よ、なんて今更言っても伝わらないけれど彼は多分全部知っている筈。


『ねぇ、グレル。アンタ死神でしょ?あたしが死ぬときはあんたがやりなさいよ。』

『仕方ないワネ。その時は容赦しないワヨ?』


こんな稚拙な契り、アンタは覚えていたのかしらね。

罪と罰と紅。

(赤を羽織る死神は今何を思う。)




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