せめてもう少し、一言だけ(セバメイ)
・捏造でしか出来ていませんが
・アンケートでセバメイとお答え下さった方へ。
・寧ろセバ?←←←←←メイ
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「おや」
今日も一日が終わろうと、時計の針はもうすぐ零時を指そうとしている。
後り敢えず厨房の灯りを消そうと足を進めていると、誤算に気付いた。
家女中がテーブルセットに突っ伏して穏やかな寝息をたている。
つまり、此を無視して消灯した所で彼女は9割型“何か”仕出かすという事。
「…メイリン」
取り敢えず一声掛けた所でメイドが目を覚ます気配は殆ど無く、どうせ執務室に居た所で寝ないのだから大差は無いか。
彼女の向かい側に座り、起きるのを只待つ事にした。
掛けたままの眼鏡を手に取り、ゆっくりと外すとつり目がちの瞳は閉じられ、睫毛が影を落としている。
――中々に珍しい光景ですね。
呆れ半分のため息を漏らし少しだけ視線を外すと右手側のボタンが解れ掛かっている事に気付き、仕方なくも眠っている間に済ませれば良いと胸元から裁縫セットを取り出した、瞬間。
「う、ん…眼鏡眼鏡……………眼鏡…!?」跳ね上がった猫の様に起き上がり手で顔を隠し始めるとまた目につく、ボタンの解れ。
「メイリン」
「は…っセバ、セバスチャンさんっ…!」
「暫くそのままじっとしていて下さい」
「え、えっと…?」
右手首を此方側に引き寄せると戸惑う彼女は取り敢えず放っておいて、針と糸を通し縫ってゆく。
きっちりと糸を巻き付けた所で糸を噛み、結びつける。
「…有難う、御座いますですだ」
「――いえ。良いものが見れましたよ」
「へ…?」
「此れは御返しします」
先程まで取り上げていた眼鏡を掛けてやると忘れてた、と慌てふためきながらまたうなだれる。
「貴女も早く部屋へ戻りなさい」
手を二回叩き指示を出すと二回程御辞儀をし、去って行くと思いきや突如立ち止まり此方に振り向くと少しだけ遠慮がちにもこう告げた。
「セバスチャンさん、お休みなさい、ですだ」
せめてもう少し、一言だけ
(…寝ません、けどね。)
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