・一万打企画から
・R12程度の温い表現有。
・情事前
・10年後設定。

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僅に冷気の含む空気に刺激される様に肌は冷え切って彼女の透き通る様な肌はまるで、白石器の様に白く、月夜に照らされた肌が一際映えた。

それに触れるのは少しばかり恐ろしい気持ちにさせた。彼女の無垢なる白を僕が汚してしまうのではないか。そして彼女に触れれば僕は、大切な何かを忘れてしまうのではないか。左眼を覆う眼帯に指先を滑らせると只、微かな空気の音と共に沈黙が流れて行く。

――只、彼女を抱くだけという話なのに。
金糸の様に滑らかな髪に指先を通し乍ら僅かに揺らぐエメラルドグリーンを見下ろすとふと、僅かにも目を見開き漸く彼女が沈黙を破った。

「――シエル、貴方今自分がどんな顔をしているか解ってる?」

「…どういう意味だ。」

「今にも泣いてしまいそうな顔、してるもの。…どうしたの?」

冷えた指先が僕の頬を包むと彼女の澄んだ瞳から目尻を伝い透明な雫が止め処なく溢れた。泣いているのはお前の方だろうと言う前にうっかり泣いてしまいそうな自分に苦笑が滲んだ。涙なんか出ない癖に、と。

「…っ、違うの。嬉しくて。…シエルとここまで一緒に居れて。」

月光に照らされてその涙は僅かに光ると彼女の目尻を拭う様に親指でなぞると抱き寄せる様に彼女の身体を包み込み、少し力をこめて抱き締めた。華奢な肩が僅かに震えるのを感じながらこの体温を二度と忘れずにいようと。

「エリザベス、すまない。…エリザベス。」

唇に熱を移すまで時間が掛からなかった。只、甘く、柔らかなこの時間を黒に染めてしまわぬ様にと、只彼女の震える肩を見つめながら願った。



止め処なく。


(最期の感触は君だけで。)









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