・一万打企画から
・シエリジ+セバス
・五年後捏造。夜会ネタ。
・R15。

「い…っ」

最近エリザベスが漸くヒールのある靴を履き始めた。本人の意向では無いものの好い加減僕の身長も伸びた訳だし、という事で納得した訳だが慣れない内は良く靴擦れというものが起きるらしく、薄桃色のヒールを脱ぐと痛々しくも爪先あたりが赤み帯びていた。

「あまりご無理をされてはいけませんよ。もう少しヒールの低いものから慣れていかなければ。」

執事はそう言ってアルコールを付着させた綿をその箇所につけていきながらも無礼の無い様と足首をドレスの裾で隠しながらその場に跪き、微笑を浮かべる。

「そうね…こんな事だったら前前からこういう靴、履いておけば良かったわ。」

「失礼しました、我が主が少々成長期が遅かった所為で御迷惑をお掛けしてしまいまして。」

「黙れ。」

「おや、坊っちゃん。いらっしゃったのですか?失礼致しました。」

白々しい。エリザベスは兎も角お前は確信犯か。呆れた様に壁に凭れ、奴を見降ろすもどこと無く嫌味な微笑に眉間に皺を寄せた。どうしたものか、と浅く溜め息を漏らしながら其方に歩み寄るとエリザベスの爪先に視線を落とす。

「厨房でバルド達が騒いでいた、確認をして来い。後は僕がやろう。」

「…は。恐れ要ります」

そう言って一礼し、静かに戸を閉めると二人きりとなったこの部屋に僅かな静寂が訪れた。僕はこの静けさを気にする事も無く、先程執事が跪いていた場所で跪き痛々しく赤みを帯びていた爪先に指を這わせると僅かな痛みにエリザベスの顔が僅か、歪む。そして其処に唇を落とすと彼女が一瞬の内に顔が紅潮するのが解った。

「シエル…っ」

「沁みるか?」

「え、えぇ。アルコール…が、痛っ…!」

アルコールが染み込んだ綿を軽く触れさせるだけでもどうやら痛むらしく、僕は顔を上げながらふと、とある考えが浮かんでしまった。別に色情故では無い。けれど、先程から胸中に蹲る蟠りを解くには彼女に触れれば良いと思った。否、正直に言うと僕が触れたいから触れる。それだけだ。

「エリザベス。良いか、嫌なら抵抗しろ。其れを理由にお前を嫌いになる事は無い、から。その…三十秒間目を瞑っていろ。」

「三十秒間…?わ、解ったわ!…瞑ったわ。」

金色の髪が柔らかく揺れると其れに一先ず唇を落とし、頬、瞼、と触れるだけの口付けをした。そしてサイドの髪を耳にかけるとさらり、と痛みの無い金糸の様に指をすり抜けた。すると耳が覗くと其処にも唇を落としながら爪先にアルコールを染みさせるも尚、耳朶を甘噛みする。すると僅かに擽ったげに身が揺れると小さな笑い声が漏れる。

「ねぇ、シエル、まだ?」

「消毒が終わるまで辛抱しろ。」

「えーっ、まだ待つ……っ、ん。」

酸素を奪う様に、触れるだけの口付けを何度か繰り返す。柔かな唇の端から僅かに息が漏れると其れをも塞ぐかの様に唇を重ね、深く。口内を滑る様に絡ませては、上気した顔を包みこんだ。

「隙だらけだな、全く。」

「何…っ」

「もっと気を引き締めろ、変な奴に捕まっても…」

「シエルに守ってもらうもの。」

「…だったら。」

柔らかなソファに腰を掛けると深く沈み心地よく、それに身を任せる様に倒れ込む序でにエリザベスを引き寄せ、金糸の柔らかな髪を一束掬い乍らエメラルドグリーンを只一点に見詰めた。

僕が当事者であった場合。

(指輪を外し、手袋の先を噛む。それは始りのサイン。)


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R15にさえなっていない気がしてきました…(滝汗)
ご期待に添えていませんでしたら申し訳ないですorz




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