・一万打企画よりシエリジでお任せ
・シリアス。
・風邪ネタ。

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上質なベッドに身を沈め穏やかに寝息をたてる少年はこの上無く美しく儚げに在った。ブルネットの髪に触れると柔らかに指先を通り抜ける上質な髪に長い睫毛、少女の様に華奢で可憐な身体。

「シエル、ね。シエルなのね。」

ベッドの傍らで優しく手を重ねる彼女はポツリと溢した。愛しげに瞳を細めるとエメラルドグリーンの瞳が揺れ瞳からは透明の滴が滴って零れ落ちる。それが彼の手の甲に吸い込まれる様にぽつりぽつり、と滑ると彼はその瞳を開いた。が、その瞳の色は彼女の良く知った海の様な蒼ではなくて、


「‥‥あ」


紅く、光る瞳。闇夜に融ける鮮血の様なそれに思わず言葉を失った。そうして少年は綺麗に微笑みながら言う。


どうしたのですか、レディ。僕を喚んでしまったからにはもう後には戻れません。貴女は既に此方側に味を踏み入れてしまった。神を欺き、闇へと。今更怖じ気づくか。



「‥リザベ‥‥。ッエリザベス!!!」


と、思わず息を飲むと目に飛び込んできたのは天井。ふと、視線をずらすと少年が自身の手を握り深刻な面持ちで居た。そうだわ、あれは夢だったのね。無意識に乱れていた呼吸を整えながら彼を見上げた。

「‥‥熱は大分下がった様だな」

「ええ」

「叔母様には連絡しておいたから、今は休め。」

「有り難う、シエル。‥大好き。」

「‥‥良いから目を瞑れ。」


熱の所為もあって意識が朦朧とする中静かに目を瞑った。すると額にふと柔らかな感触が擦る。これは何か、なんて考える暇も無く意識は夢の中へと再び放たれたけれど、それは甘く切なく、一層熱が籠る様に思えた。



熱度と零度
 
 
(貴方と二人で、)






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