装い下手。(ヴィンエコ)
  

・一万打企画リクエストより
・ヴィンエコ。初描きなので似非感が隠しきれて居ませんがorz

ーーーーーー

ヴィンセント様の唇が髪に触れる。其処には熱度も零度も何もなく、彼なりのスキンシップとかその類だろう。彼が唇に形良く弧を描くと私の頬を包みながら言った。

「ねぇ、エコー。僕のお願い聞いてくれるかい?」

耳元で微かに囁かれた声は何処か子供の様であった。ハッと我に返ると私は瞬きを一つして彼を見上げる。私は彼に逆らう事は無い事等彼は百も承知だろうけれど、彼はいつもこうして問うのだった。この無意味な言葉に返す言葉なんて決まっている。

「はい、ヴィンセント様。」

 けれど、この二言返事がまさかこんな事になるとは思っていなかった。あの時の自分にほんの少し後悔の念を抱いたが、否定等出来はしないのだから結果は同じだったと言い聞かせて。

「っ、は」

「大丈夫、殺しはしないよ。もうすぐ帽子屋さんが来る筈だから其れまでの我慢。」

「はい」

「いい子だね。」

ーー正真正銘の毒薬を飲んだらしかった。息が真面に出来ない上に思考もどこと無く確りしない。解毒剤があるから、とは言われたものの彼は私を本当に殺してしまうのでは?なんて思案するも上がった息は彼の唇に塞がれた為余計に苦しくて少しばかりの嫌悪感と無意識の安心感が混沌とした所で思考を止めた。考えた所で変わらないのなら今は脳だけでも休めよう。

「何を考えてるの?」

平気で突き放す癖に包み込む様に抱き締めるその手は余りにも甘くて、こうして彼はまた私に依存の文字を刻むのだろうか、だなんて我ながら滑稽な事を思い浮かべる傍ら、やはり彼には呆れるしか無くて。自分で毒を盛っておいてこんな表情をするならもっと違う方法があるのでは無いか。全て貴方が悪いのに、何故こんなにも。

(今自分でどんな顔をされているか解ってますか、ヴィンセント様。)








2011/09/16 03:20

|

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -