*荒木竜一



とあるクラスに一つの有名なカップルがいた。

人々はそんな二人をこう呼ぶ。


『荒木、お茶』

「へい!」


バカップル、と。

彼女は典型的な女王様気質で、彼氏は自称王様。響きとしてはとても素敵なロイヤルカップルかもしれない。しかし、彼氏がまた何とも言えずぽっちゃりとしていて、お世辞でも釣り合うとは言い難かった。


休み時間、彼氏が大好きな彼女に向かって飛び付こうとする。


「名前ちゃーん!」

『寄るな』


バシッと頭を叩かれた彼氏は、べちゃりと床に落下する。とてもいたたまれない光景だ。

落下した彼氏を踏ん付け、彼女が放った一言は、


『触れたいなら痩せろ』


これだけだった。


「へい!」


周りで見ている誰もが彼を可哀相と思っていたに違いないのに、彼は元気に返事をした。


「荒木、お前辛くねえの?」


流石に心配になった友人が彼に問い掛ける。

それに対し彼が返した一言は、


「あの角度だとパンツ見えんだよ」


何とも前向きであった。


『荒木、筆箱落ちた』

「へい!」


「(あいつ…ドMか)」




女王様と王様
(徹底された主従関係)






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