*荒木竜一



暗い部屋で、私と彼の息遣いだけが聞こえてくる。

窓から差し込む月明かりが彼を照らし出した。


『荒木くん…』


光照らされる彼の顔は、何故かぼんやりとしていてはっきり分からない。

ゆっくりと顔が近付いてきて、キスをされる。


『!?』


長い長いキスに息苦しくなり、呼吸したくてうっすらと口を開くと、その隙を見てぬるりと舌が侵入してきた。


『んう…!』


口内をじっくり味わうように舐め回され、耳元に響く嫌らしい音が脳を刺激する。

しばらくしてようやく唇を離されたかと思うと、今度はチリッと電撃のような痛みが首筋に走った。


『っ!やっ…待って、荒木くん…!』


* * *


『!?』


目を覚ますとそこは見慣れた自分の部屋だった。着ているシャツには汗が滲んでいる。


『えっ…ゆ、夢?』


どれだけ欲求不満なのか、クラスメイトまで巻き込んだとんでもない夢を見てしまった。


『えええええ…』


そんな自分に引く。


『しかも何でよりによって荒木くん…』


彼はただのクラスメイトで、よく太るので体質に難有りだが痩せている間は元々の調った顔が際立ち、更にサッカーも国代表レベルとあって、とてもモテる。

今まではサッカーの上手いクラスメイト程度だったのに。


『あああ…何であんな夢見たの私…』





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