*荒木竜一
とあるクラスに一つの有名なカップルがいた。
人々はそんな二人をこう呼ぶ。
「名前ー」
『!』
バカップル、と。
休み時間、彼氏がいきなり後ろから大好きな彼女の胸に触った。周りは、今までの彼女の彼に対する扱いを見てきているので、とてもヒヤヒヤした様子でそれを見守っていた。
しかし、それに対し彼女は、
『ちょ…、ちょっとやめ…!ここ教室なんだから!』
顔を真っ赤にして何とも女の子らしい反応を示した。
「いいじゃねーか、ちょっとくらい」
『だめ…!みんな見てるから!』
「けちー。じゃあ後でいっぱい触らせろ」
『ばかっ…!』
周囲がいつも見ていた光景は、彼女に触れようとして、逆に踏ん付けられている彼氏だった。しかし打って変わって、今日は彼女が顔を真っ赤にして、彼氏が放つ変態発言の一つ一つに照れている。
何と言うツンデレ。
「荒木、お前もう太るなよ…」
友人たちは呆れた顔でその光景を見守っている。
そう、彼氏は痩せたのだ。
友人に向けて、どうだと言わんばかりにニヤリと笑い、彼女に向き直る彼の顔は何とも憎らしかった。
「触られたいんだろ?」
『っ…!』
後ろから抱きしめるようにしていた彼が彼女の耳元でぼそりと呟くと、彼女は反論せずに俯きながら頬を染めてそっぽを向いた。
女王様と王様 (荒木、鞄) (へい!) ((こいつらアホだ…))
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