-5- 五、十七年後のジェントラン あの日から十七年、進んでいる物語は大きな展開を迎えようとしていた。 「…ではこの少年を救出するのが最優先事項だと」 玉座の前で脆く二人は、かつての幼い双子達。 「そうだな。こいつはこの国に必要だ」 「何故ですか?」 「それを話すのはまだ早いんだ。ごめんな、アル」 「いいえ、俺は何も言っていませんから、陛下が気になさることはありません」 「……シエラ。お前は大丈夫か?」 「えっ!?」 「先ほどからずっと黙り込んでいるが……」 「いっ、いいえ!私は大丈夫です、陛下」 「そうか、では、よろしく頼んだ」 部屋を出て行った彼らの今日の任務はある少年を救い出すこと。 少年の名は、サイラス・レーダ。かつて俺の愛した人が愛した花の名前を持つ少年。そう、俺のたったひとりの……。 ガルーシャの復讐は近い。そして、義賊ジエントランの活躍も終盤を迎える。 大きな戦いが待ち受けているのだとわかった。 父が治めた国を継いでから早十年。 そして、あの過ちを犯してから十七年。 長いようで短かった日々が終わる。戦いの終幕を喜んでいいのか悪いのか。俺はわからなくなってきている。ああ、でも…… シエラザードとアルフレード、そしてこの少年サイラス・レーダ この三人は俺、サラディン・スコアールドとガルーシャ・サジャータの戦いに大きな影響を与えるだろう。 大きな戦いの火蓋を落とすのは、彼らだ。 菖蒲を求めて手折った蠍と、 菖蒲を狂気的に愛し続けた射手 蠍の心臓を狙い続けた射手がもたらす争いは始まったばかり。 過去、 現在、 未来、 すぺてに繋がる御伽噺の終止符を打とうではないか、 だが、時間は止まらない 双子の物語は永遠であるのだから…… 銀色の世界はまだ続く -End- →次ページにて振り返りとオマケ小話 前へ 次へ |