-1- 大切なモノがあって、 大事なヒト達がいて、 失いたくないオモイがあった。 そんな気がする。 一、さ迷い続けて失う 眩い閃光。大きな爆発音。獣の悲鳴。赤く染まった空と地。それら全てが頭に蘇った。無音のはずなのに、終焉を感じさせる音がずっと鳴り響いていた。全て、何もかもを消し去ろうと する運命が、近づこうとしているのがわかる。 全てが、終わる。 そんな考えが頭を駆け巡っていた。焼け落ちた草原の中。ひとりになった自分の周りには、数多くの犠牲。僕の知っているものがなかったとしても、この戦いにこの数の犠牲を出してし まったことに僕は嘆く。未だに続いているであろう戦の原因は全て自分なのに、僕は何も出来ていない。否、何も出来ない。 「……笑えるな」 何も掴んではいない自分の両手が、非力な自分を表しているようで笑える。自嘲するしかないだろう。 「……シエラさん。……アル、さん。」 どこにいるのかさえわからない仲間達の名を呼んだ。返事は、ない。来ないとわかっているはずなのに、呼びたくなってしまったのは多分、僕の心が弱いから。一人にはなりたくないと、僕の心が泣いているからなのだろう。 もう、何もかもが嫌になってきた。この孤独と、この罪悪感から逃れたい。 生き物の焼けたにおいが立ち込めるこの草原だったところを、僕は歩き始めた。暗い森の奥へと、歩く。あの二人を探しに。 無駄なのだとわかっている。 それでも、僕は歩き続けた。 前へ 次へ |