Gift | ナノ

□黒孤様


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「音無さん、それ重くない?俺持つから貸しなよ」
そう優しく微笑むヒロトさん。
「え…い、いえ大丈…」
そんなヒロトさんの両腕を見て言いかけた私の言葉は言い終わる前に遮られた。
「何言ってんだよお前、両手いっぱいじゃねーか。おい鬼道妹、俺が持つから貸せよ」
言葉を遮ったのは、私の左隣りを歩く不動さんだ。
「…あ、あのでも…」
私を挟みこんでそんなやり取りをするヒロトさんと不動さん…
二人の両手両腕には大量の買い物袋。
私の手には小さな買い物袋がたった一つ。

今の状況はと言うと…ただの買い出しの最中だ。
いつもなら一人でも問題はないのだが、今日の買い出しは量が多い。
夕食の買い出しの他に丁度テーピングやアイシング、ドリンクの粉末などを結構な量補充する必要があるからだ。
秋さんや冬花さんは各自分担している仕事がある為、手の空いている選手に付き合って貰う事にしたのだが……じゃあ何故この人選なのかと言うと、頼もうと思ってたお兄ちゃんは監督に呼び出されてしまったし、一年の皆は立向居くんとの新技の特訓があるから邪魔をしたくないし…どうしよう誰に頼もう…と思っていたらヒロトさんが一番に名乗り出てくれた。
それに「すみません、お願いします」と頭を下げた所で不動さんが「買いたい物があるからついでに手伝ってやる」と言って来た。
正直驚いたけど、最近はお兄ちゃんやチームメイトとも打ち解け始めているみたいだし…それにこの前、洗濯物を運ぶのを手伝ってくれたし…びっくりしたけどもともと悪い人じゃないんだろうな、と思いその申し入れを有り難く受ける事にした。

そうして今に至る…


「不動くんこそもう開いた手がないじゃないか。音無さんほら、俺まだ持てるからそれ貸して」
無理矢理片手を開けてそう言うヒロトさん。
荷物は全て右手右腕に…
「ひ、ヒロトさんそんな無理しなくても…」
右腕奮えてるじゃないですか!
「いやいや、よく見ろよ。こっちまだ持てるし。おい音無、それよこせ」
あれ?いつの間にか“鬼道妹”から“音無”になってる…?
初めてちゃんと名前を呼ばれたな…なんて頭の隅で考える。
でも今はそれ所じゃないわけで…
「あ、あの…」
だが言いかけるも私の言葉はまたも遮られる。
「不動くんそんなキャラじゃないだろう?無理しなくても俺が持つから大丈夫だよ」
「キャラって何だよキャラって。無理してねえし」
「大体、君が買い出しに付き合う事態無理してるんじゃないか?気にしないで先に帰っててもいいんだよ」
確かに私もまさか不動さんがこんな買い出しにちゃんと付き合ってくれるなんて思わなかったけど…最初は。
「そうしてやってもいいんだけどよ、それだと俺が文句言われて面倒だし?しょうがねえから最後まで付き合ってやるよ」
「大丈夫だよ。不動くんが真面目に買い出しを手伝うなんて皆きっと思ってないから誰も気にしないさ」
何だかだんだん険悪な雰囲気になってきた…そもそも何で二人はこんなに荷物を持ちたがるんだろう?
何か競っているんだろうか…?
どっちがより多く荷物を持てるか、とか?
男の子ってわからない…だけどとりあえず落ち着いて貰わなければ…!

「あ、あの…二人とも…!」
意を決して今度は少し大きな声で二人を呼び止める。
すると二人は立ち止まり私を静かに見た。
それはもう痛いくらいにじっと。
右のヒロトさん、左の不動さんを目だけで交互に見遣り、とりあえず苦笑してみる。
「私、これくらい持てますから…」
むしろもっと持てるのでお二人のも少し持ちます、と言おうとしたのだが…生憎それより先に口を開いたのはヒロトさんだった。
「ほら、不動くんがしつこいから春奈ちゃんが気を使っちゃってるじゃないか」
「はあ?お前だろ。てかさりげなく春奈の事名前で呼んでんじゃねえよ」
「え…いや、あのそんなんじゃ…」
ああ…もういい加減競うのをやめて下さい…って言うか、不動さんも名前呼びしてますよね。
何故いきなり名前呼びなんですか二人とも。
一体これは何の争いになってるんだろう…本当の本当に男の子ってわからないなあ…ていうか不動さんは自分の用事はいいのだろうか?

「あ!すみません二人とも…私あそこで買う物あるので少しここで待ってて貰っていいですか?」
とりあえず、この競い合いを何とかしたい。
その為にもう一つ、荷物を増やして二人に一つづつお任せするとしよう。


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「…不動くん本当は用なんてないよね。わざと付いて来ただろ」
「抜け駆けなんてさせると思うか」
「いい加減に音無さんから手を引いたらどうなんだい?」
「はっ、やだね。お前こそ、そろそろ諦めたらどうだ」
「それこそ御免だ」




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キリ番4100
黒狐さまリクで不春基か風春基…で、不春基にさせて頂きました!
遅くなって申し訳ありませんでした
そしてCPしかリクエストに沿っていなくて本当に申し訳ありません!!!!
しかし書いた当人は楽しく書かせて頂きました。

訂正、書き直し、遠慮なくお申し付けください
返品ももちろん大丈夫です

では…リクエスト、ありがとうございました!
こんな私ですが、これからもよろしくお願いします。

黒狐さまのみお持ち帰り可です。

2011.08.17 のんこ

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