Gift | ナノ

□緋朱様


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放課後、ダラダラと廊下を歩いていたら「暇だったら雑用、手伝ってくれない?」と、捕まった。
そう…俺の想い人、教師で顧問の音無春奈に。
当然…断る理由はない。


「ごめんね、手伝って貰っちゃって」
三種類あるプリントを一部づつ重ねていく先生が苦笑した。
「別に、暇だったし…」
それにそっけない返事を返した。
だいたいいつもこんな態度を取ってしまう。
別に照れてるとかそんなんじゃなくて、ただどうしていいのか分からない。
分からないから、適当な言葉しか出てこない。
そしていつも後悔する…が、それがもう彼女にとっての“俺”なのか、大して気にする事なくニコニコして作業を続けていた。
「ありがとう。終わったらジュースでも奢るわね」
そう言う先生を横目に、パチンパチン、と…彼女が一部づつまとめたプリントをホチキスで留めていく。

彼女にとって俺はただの生徒の内の一人でしかない。
確かに…俺は生徒だしこの人は教師だし…歳だって8歳も離れてる。
今現在…二人きりのこの空間で、その事実に無性に腹が立った。
卒業までは、言わないつもりだった……だけど今、何故だか突発的にそれをぶっ壊したくなったんだ。

「…せんせーは彼氏とか居んの?」
「…何?突然」
唐突な俺の質問に、隣で作業していた先生はプリントをまとめる手を止め、大きな目を不思議な物でも見るかの様にぱちぱちとさせていた。
「いいじゃん。で、どうなの?」
「…どうだっていいでしょー。生徒には関係ありません」
ふぅ、と息をついて俺の問いはばっさり切り捨てられ、先生は作業に戻る。
ぐさりと心臓の辺りに突き刺さる「生徒」と言う言葉。

「よし、終わったわね」
何事もなかったかの様に出来上がった資料をまとめ重ねていく先生の手に自分の手を重ね、ぎゅっと握って目を見つめてもう一度さっきと同じ質問を投げかけた。
「彼氏、いんの?いないの?答えてよ」
「だーめ。どうせどっちでも後でからかう気でしょ?教えません」
手を握られた事には全く動じる様子はない。
どこまで子供扱いなんだ…
と、悔しさが込み上げる。

「…そんなの、しねーよ」
「南沢く……!?」
握った先生の手に俺が指を絡めていくと、さすがにびっくりした様に目を見開いた。
「せんせーの事、好きだから気になんの…」
いい加減気付けよ…
そう顔を見つめると、彼女の頬が少しだけ赤く染まった。
それを俺は当然見逃さなかった。
「…やっと脈あり?」
ニヤッと口角を上げてそう聞くと、先生はさっきより頬を赤くしてむっとした顔で俺の手を解いて立ち上がった。
「まったく、大人をからかうんじゃありません!」
「…大人なんだから、本気の告白はぐらかしちゃダメだろ」
そう言ってやると先生はぐっと息を飲み込んだ。
先生は難しい顔でしばらく考えてから口を開いた。
「…あのね、南沢くん」
「あーはいはい、分かってるよ。せんせーにとって、俺はただの生徒…だろ?」
俺がはあ、とため息をつくと先生はなんて言っていいのか迷っている様だった。
ごめん、困らせたいわけじゃなかったんだ…つっても、生徒にこんなん言われたら…普通困るよな…

だけどさ、俺だっていつまでも、ただの生徒のままなのは嫌なんだ……。
「だから長期戦。覚悟しといてよ?ここまで言っちまったんだ、俺は引き下がる気なんかもとよりないからさ」
そう言って椅子から立ち上がる。

そしてまだ難しい顔をしている先生に冗談を交えて半分、いや…八割は本気で
「あと、今日のお礼はせんせーのキスでいいよ」
と言うと、彼女は思いの外顔を真っ赤にさたもんだから、柄にもなく俺の心臓が大きく跳ねた。

「ば…っ!?何言ってんの!!!!ジュースよジュース!ほら、行くわよ!」

これ職員室に置いたら自販機直行よ!と、プリントの束を持ってすたすたと部屋の扉に向かう彼女の後を平常心を装いながら追う。

とりあえず、少しでも何か変わったんだろうか…
その答えは彼女の横顔を見れば明白で、思わず口角が上がるのを抑え切れなかった。



……あとがき……………

キリリク2600
神童、霧野、南沢の誰かと春奈との事でしたので南沢を…

…す、すみません…
何か変な事に…
あああ穴があったら入りたい…///orz///←
遅い上にこのクオリティ…

最初に浮かんだのが南沢さんだったのでみなはるにしたのですが…もぅホントすみません…収拾がつかなくなってしまいました…←
てか南沢さんが春奈の事なんて呼んでるのか分からなかった…/(^p^)\
普通にせんせー呼びにしちゃった☆←

リクエストありがとうございました!
緋朱さまのみお持ち帰りフリーですm(__)m

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