Gift | ナノ

□雛菊様


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ある日の午後、空は清々しいまでの晴天。
絶好のお出かけ日和…なのだが……。

俺の目の前を歩くふわふわ揺れる藍色の髪に赤いフレームの眼鏡を一般的な目ではなく頭に乗せ、ニコニコと楽しそうにする少女。
それはいい、凄くいい。
そう…問題はその両サイドだ。


事の始まりは数十分程前。
選手にもたまにはリフレッシュする時間を、と言う事で今日の練習は午前のみとなり、午後は各自、自由に過ごす事が許された。
本当ならゆっくり休みたい程疲れていたが、こんな機会は中々ない……と、鬼道くんの目を盗みこっそりと彼の妹で俺の想い人の彼女…音無さんをデートに誘った。
彼女は俺の誘いに満面の笑みで「はい!」と答えてくれた。
そんな彼女に、高鳴る鼓動を抑え待ち合わせ場所を決め、一度宿舎の部屋に戻り素早く支度を済ませ彼女の元へ向かう。
コート脇の木陰が落ちるベンチに座る彼女を見付け、心臓を弾ませた。
「音無さ……」
言いかけたところで彼女の側に二つの人影があるのが見えた。
凄く見覚えのある……いや……そんな、まさか…
すると、
「あ、ヒロトさーん!」
俺の姿を捉えた音無さんが表情をパァっとさせ大きく手を振った。
それに合わせて二つの人影も動く。
「よぉ、久しぶりだなヒロト」
「な…ッ南雲!?」
「元気そうじゃないか」
「涼野まで…どうして…」
かつての黒歴史の同士であり、FFIアジア戦のライバルだった二人がこの島に居る事に驚きを隠せなかった。
「二人ともヒロトさんに会いにきたみたいですよ」
音無さんはベンチから立ち上がり、まだ呆然としていた俺の腕を引いた。
「あー、違う違う。会に来たっつーか…コイツこないだの試合途中キャプテンになって負けたろ?どんなツラしてっかなと思ってさ。」
ニヤリと笑う南雲……中々痛いところを突いてくる……。
「それでわざわざ見に来てやったんだが……なんだ、元気そうでがっかりだよ」
ふぅ、と溜め息をつく涼野の顔は本気でがっかりしているようだった。
「そう…それはどうも…」
溜め息をつきたいのはこっちだ、と苦笑してとりあえず礼を言っておく。
「まぁ、ここに来たのはそれだけの理由じゃねーけどな…」
南雲がボソッと言い、あまり良い雰囲気でない事に苦笑していた音無さんを見る。
涼野も同じく。
ま、まさか…この二人…と、思っていると
「じゃあ春奈、行こーぜ」
と、南雲が彼女を促す。
「…は?ちょ…どこに…」
「彼女にこの島を案内して貰おうと思ってね」
涼野はジロっと俺を見据えて「春奈が君と待ち合わせていると言うから待ってやっていたんだ。」と言うと音無さんにアイスが食べたいと先程と打って変わって涼しい顔で言い出した。


そして今に至る。
「お前達…いつまで一緒に回る気なんだ…」
目の前を音無さんを挟み込み様にして歩いている南雲と涼野に呆れを交えて言う。
「別にいいだろ。春奈も大勢のが楽しいだろうし」
なあ?と言う南雲に音無さんはふにゃりと柔らかく笑って
「はい!まさかずっと敵対していた南雲さんと涼野さんとこんな風にお話出来るなんて思ってなかったので、楽しいです」
と、本当に嬉しそうな彼女にまた心臓が跳ねる…が。

「ほら、春奈が楽しいならいいじゃないか」
そう言う涼野がさりげなく彼女の肩に手を置いた。
思わず顔が引き攣り涼野を睨み見るとニヤリと黒い笑みを浮かべていた…
なるほど……。
どうやら分かってやっているらしいので一先ず落ち着く事にしよう…
…………て言うか、今更だけど何で二人とも音無さんの事呼び捨てなんだ…
しかも下の名前……
俺だってまだ苗字に「さん」付けなんだけど……
………それに、さっきから近くないか?
距離……

「あ、涼野さん!アイスはあそこがオススメなんですよ!!」
音無さんは華やかに装飾されたアイスクリーム店を指差すと小走りで涼野の手を引く。
「そうか、案内のお礼に春奈の分は私が払おう。」
すると涼野はそのままさりげなく彼女の手を握った……瞬間、その涼野の手を引き離したのは…南雲だった。
「俺も出すから春奈ダブルにすれば?」
「えっ、いいんですか?」
今、目だけで争っている南雲と涼野には気付いた風もなく、音無さんは嬉しそうに瞳をキラキラさせる。
この二人やっぱりか…

そんなやり取りを終え、音無さんはアイスを二種類選び、爛々とした表情で食べ始めた。
その両脇にはやっぱり南雲と涼野。
だから……さっきから近いって。
距離…ッ

「春奈の美味そうだな、ちょっとくれよ」
と、南雲があろうことか音無さんの食べかけのアイスにかじりついた。
「……!!」
瞬間、俺の中の溜め込んでいた何かがブツンと音を立てて切れた。
「ちょ…南雲さん!これじゃあ間接ちゅーじゃないですかぁ」
もー!と顔を真っ赤にする音無さん。
その口元にはアイスクリームが付いている。
「あれ?ヒロトさんはアイス食べないんですか?…あ、ヒロトさんも私の食べます?」
なんちゃって、と頬を染めてはにかむ彼女に俺は普段通り笑いかけ…
「じゃあ…貰おうかな?」
と彼女の手を引き、口元に付いたアイスを頂く事にした。

唇を離すと音無さんは真っ赤な顔をして口をぱくぱくさせていた。
「ひ……ヒロトさ…!?」
まだ何が起こったのか理解出来ていない彼女に、「アイスおいしいね」と微笑みかけると更に顔を真っ赤にする。
やっぱり可愛いなあ…

彼女の両脇にいた南雲と涼野はというと、目を見開いて持っていたアイスを地面に落下させた。

「さて、次は何処に行こうか?」





※※※※あとがき※※※※

お待たせ致しました!
雛菊さまリクで南雲と涼野と仲良くする春奈に嫉妬なヒロ春…です…が、……………!?(^p^)

ど、どうしてこうなった……!?
いやいや…あれ!?
てか、これヒロ春じゃなくてエイリア3TOP×春奈じゃね!?
ご……ごめんなさい…
何だか違う物に仕上がってしまいました……OTZ
無駄に長いし終りもなんか…gdgdですね…OTZ

……こ、こんなのでよろしければ、どうか貰ってやって下さい…

雛菊さま、リクエストありがとうございました(人´∀`)
よろしければまたどうぞ♪

2011.05.25

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