Gift | ナノ

□かなて様


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つまるところ、一目惚れ…ってヤツだったんだと思う。しかも生まれて初めての、初恋。
彼女が、彼女達が陽花戸に来て初めて見た時からその後の練習中も、家に帰ってからも、その日に見た彼女の笑った顔が脳裏に焼き付いて離れなくて、思い出す度に心臓がバクバクと煩く鳴った。
次の日もつい目で追ってしまうのは彼女の姿ばかりで、せっかく憧れの円堂さんが近くに居るのに俺の頭の中はほぼ彼女で占領されていた。のに、ちらちらと様子を伺うだけで精一杯でとても声なんてかけられなかった。
その後すぐに、俺もキャラバンに参加する事になった。チャンスだと思った…が、やっぱり声なんてかけられない。沖縄で南雲って人と一騒動あった時にベンチに隣同士で座ると言うチャンス時も、見事に何も言えずにただただ事の行く末を見ていただけに終わった。
その時にベンチに置いたお互いの手が触れるすれすれの距離に…泣きそうなくらいドキドキした。

それから、彼女とは何もないままエイリア事件は終わり俺は陽花戸に帰った。帰ってそのまま、彼女と会う事はもうないんだろうか…とろくに会話も出来なかった小心者の自分を悔いたし、憂いた。思えば俺の目に映っていた彼女の姿はいつも後ろ姿や横顔ばかりだったな…。もっとちゃんと、話したかったな…。
初恋は実らない。そう誰かに聞いた気がしてもう諦めようかと思った。だけどそんな俺に再び、思ってもいなかったチャンスが降り注いだ。
俺はFFI日本代表の控えキーパーに選ばれ、そのマネージャーの中に彼女の姿があった。


「立向居くん?どうしたの?」
木陰で座り込みうなだれた俺の頭上からひょっこり顔を覗かせる灰青の瞳と視線が交わり数秒、身体の内側からかっかっ、と熱くなって一瞬で顔が火照る。
「うわあ!?お…おと、音無さん!?」
ワンテンポ遅れて声を上げた俺に音無さんは自身も驚きながら驚かせてごめんね、と謝って一歩半下がった。
「具合悪い?」
赤く染まった頬を隠すように顔を下げていると、隣にしゃがみ込んだ音無さんは心配そうに顔を覗き込んで来る。それだけで心臓が有り得ない早鐘を打つ。
「えっ、いやあのなしけんもなか!!!!」
「え、と…なしけん?」
うわあ、かっこわる…声裏返った上に方言出ちゃったよ。かあ、と一層顔に熱が篭る。
「ああいや、ごめ…何でも!何でもないんだ、うん」
ライオコット島に来て、ある事がきっかけで彼女と言葉を交わす事が増えた。自ら望んでいた事とはいえ、正直緊張して上手く喋れない。本当に情けないと自分でも思う。
「でも…何か顔赤いよ?熱あるんじゃない?」
ふ、と俺の額に触れようとした手に驚いて思わず弾いてしまった。あ。と思った時にはもう時既に遅し、音無さんはぽかん、と数回瞬きをする。
「ご、ごめ…」
「あ…ううん、私こそごめん。お節介だったよね」
あはは、と苦笑して立ち上がろうとした彼女の弾いた手を慌てて掴んで引き止めた。
「ち、違う…!」
のろのろと立ち上げかけた腰を下ろす音無さんはキョトンと2、3瞬きをした。真っ直ぐ俺に向けられる瞳に心臓が爆発しそうだ。
「…っ、お、音無さんと居ると俺、嬉しいのにその…普通じゃいられなく、て…」
どくどくと全身が大きく脈を打って、音無さんの腕を掴む手に汗が滲む。手からも顔からも火が出そうだ。
「俺、本当はもっと音無さんと話したいし傍にいたいし、触りたいし、触って、ほしいし…。だけど、緊張して…」
頭が沸騰したみたいにぼう、っとして訳がかわらなくて…口を開いたら止まらなくて思うままに口から零れる言葉。
ああ、恥ずかしいにも程がある。茹で上がったタコの様に真っ赤な顔で凄い事を言ってるぞ俺…音無さん今どんな顔してるんだろう…恐くて顔が上げれない。
うなだれる俺の隣からふふ、と微笑が聞こえて恐る恐る視線を向けると口元に手を当てて音無さんはくすくす笑っていた。
「ねえ立向居くん、それ…私の都合がいいように受け取ってもいいのかな?」
「…え、」
緩んだ俺の手を腕から解いてぎゅ、と細い掌で握りふにゃりと彼女は笑う。
…ねえ、心なしかはにかむ君の頬が赤く染まっているのは、繋いだ手が熱いのは、俺の都合がいいように受け取っても…自惚れても、いいのかな?

(立向居くん顔真っ赤だよ。)
(だって音無さんが…。)
(私が、何?)
(…好き、だから。)
(うん、私も。)




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キリ番9999、かなてさんへ。
遅くなってすみませんんんそして勝手に文にしちゃったんですが、絵の方が…とかありましたらどうぞ申し付けて下さい!
あと返品、書き直し、等何でも受付ますので!

では、ありがとうございましたー!


20120317

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