Gift | ナノ

□匿名様


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「音無?何してんだ?」
「あ、キャプテン。お兄ちゃんに皆さんも…」
食堂で一人机に向かう春奈は円堂の声に後ろを振り返り、彼の後ろに兄、鬼道や吹雪、豪炎寺の姿を捉えてどうしたんですか?今日練習お休みなのに。と首を傾げる。
「休みっつってもする事ないしさー、特訓でもしようかなって」
サッカーボールを手ににかっと笑う円堂に春奈は皆さんらしいですね、と笑む。
「そういう音無はマネージャー達で出掛けたりしないのか?」
豪炎寺の問いに、春奈は「木野先輩達は買い物に行ったんですけど…私はコレです」と目で机を指す。
「写真?これ全部春奈さんが撮ったの?」
机の上には大量のスナップ写真が広げられていて、それを覗き込んだ吹雪は凄い量だね、と感心した様に息を漏らした。
「はい!せっかくなのでアルバムにしようと思って」
「へえ、いろんなのあるなー。お、これ夕食当番のか?不動料理なんて出来たんだな、見てみろよ鬼道」
一枚の写真を拾い上げた円堂はそれを見て至極不思議そうな顔でそれを鬼道に渡す。
「人は見かけによらんな」
「まったくだな」
それを見た鬼道と豪炎寺は失笑とも苦笑とも取れる薄い笑みを浮かべた。
食事の支度は基本的にマネージャーの仕事だが、時々グループ当番制で選手もその手伝いを行っている。まさかあの不動がこんなに華麗な桂剥きが出来るとは…。

「あ、懐かしいなこれ。キャラバンで怖い話やった時の」
吹雪が拾い上げた写真を見て円堂が思い出した様にはは、と笑い声を上げる。
「塔子が交ざりたいってキャラバンに乗り込んで来たんだけど瞳子監督に連れ出されたんだっけ」
それを聞いた豪炎寺がふとした疑問にはた、と動きを止める。
「…待て、これを撮ったのは音無か?」
「あ、これはお兄ちゃんに頼んで撮ってもらったんです。じゃなきゃ私も写真撮る前につまみ出されてますよ」

更に写真の吟味は続く。
キャラバンの掃除をしようものならいつの間にかちゃんばらごっこになっていたりしたな、写真を見ながら思い出話も募る。
「これとか完全に鬼道贔屓な写真だな」
鬼道と一之瀬が写る練習中であろう写真を指してやっぱりはは、と笑う円堂に春奈は赤面して両手をぶんぶん振ってそんな事ないですよ!と否定するが、これと、これもだな。とふ、と笑みを浮かべて豪炎寺が拾い上げる写真に更に真っ赤な顔でたまたまです!と俯く。
ちなみに鬼道本人はにやける口角を必死で抑えようと眉間に皺を寄せて強張った顔をしていた。
嬉しいなら嬉しいって言えばいいのに。何の事だ。吹雪の言葉に鬼道は尚も惚ける。

「本当に凄い量だな」
中にはどうやって撮影したのか不思議な物もいくつかあるが、そこはあえてスルーする。
「本当だね。あれ?でもこれ…春奈さん全然写ってないよね?」
ふと気付いた様に吹雪は首を傾げる。こんなにある写真の中に春奈自信は1枚も写っていなかった。
「え?ああ、私撮ってばかりだったので…あ、でも何枚かはちゃんとあるんですよ。お兄ちゃんと写ってるのが…」
木野先輩に撮って貰ったんです。とバッグから取り出したファイルから数枚の写真を取り出す。
これは全部自分用ですけど。と頬を染めて笑う春奈。
と言う事は、結局このアルバムには春奈は写ってないと言う事だよな…円堂は何か思い付いたと言わんばかりににっと笑う。
「よし、写真撮ろうぜ音無!こっちのアルバムに入れるやつ!」
「え!?いえ、私は…」
「そうだね、せっかくアルバム作るんだから春奈さんも写ってないとね」
「ほい、鬼道。撮って撮って」
机に置かれたカメラを鬼道に手渡した円堂と吹雪がにこやかに春奈の隣でピースを決める。
「待て…、何故俺がお前らと春奈の写真を撮らなければならない」
眉間の皺を深める鬼道に円堂は試合のピッチに立つ時と同じくらい真剣な目で鬼道を見る。
「だってお前はもう一緒に写真撮ったんだろ?俺も撮りたい」
「僕も」
「…断る」
どういう意味でだそれは、と眉間に更に深い皺を刻んだ鬼道は円堂と吹雪をゴーグルの奥の鋭い眼光でギロリと睨む。
「じゃあ僕が撮ってあげるよキャプテン。そしたら次、僕と春奈さんも撮ってね」
「待てお前ら!何を勝手に人の妹とツーショットを撮ろうとしているんだ!?」
「あの…でしたら、皆さんで撮りませんか?」
三脚ありますから…と苦笑した春奈はトートバッグから三脚を取り出す。
それに顔を見合わせた円堂と吹雪、更に豪炎寺はテキパキと春奈から受け取った三脚とカメラの設置を行う。何だこれ、どうやんだ?違うよキャプテン、こうだよ。もう少し上じゃないか?
「んじゃ、俺ここー」
設置が終わると円堂が一番乗り、とばかりに春奈の右隣りに座る。
「ちょっとキャプテンずるい!じゃあ僕こっち」
僕がそこ狙ってたのに、と言いたげに眉を下げた吹雪は春奈の左隣りに腰を下ろす。
え?えと…、ぎゅうぎゅうと密着する二人に春奈が戸惑っていると後ろから鬼道がべり、と円堂と吹雪を引き剥がす。
「お前達近すぎだ!離れろ!」
鬼道のその行為にえー、と不服そうな顔をする円堂と吹雪。豪炎寺は大人しく春奈の後ろに立ち、そろそろシャッター切るぞ。と声をかけたと同時にフラッシュが光る。
すぐに確認した写真は、何やら揉めてる円堂と鬼道、それを宥め様とする吹雪、苦笑する春奈、ちゃっかりカメラ目線の豪炎寺。誰が見てもこれはどういう状況?と首を傾げる事だろう。
ほら、鬼道が邪魔するからだろ。何故俺のせいなんだ。とまたそんなやり取りをする円堂らの横で春奈はふふ、と笑みを零す。
「ありがとうございます。絶対、消えない思い出になりました!」


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流星ボーイズ→春奈、でまたね…のキセツについてのお話と言う事で、ED中に流れた写真を春奈ちゃんが撮ったと仮定して書かせて頂きました。CP感はあまり無くなってしまいましたが…こういう事でなかったらすみませんっ><
書き直し、絶賛受付中なので遠慮なく申して下さい!
リクエストありがとうございました!
こちらをリクエストした匿名様のみお持ち帰りフリーです!


20120119:20000Hit Thanks

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