0401
今日はエイプリルフール。
4人も他の皆と同じように今日のために嘘を考えていた。
──朝。トップバッターは春陽。
春「おっはよ!突然ですが俺、漫画家なんだ!」
秋「マジ!?何描いてんの?」
春「ははは!ごめん、ごめん。これ嘘!ほら今日、エイプリルフールだから」
秋「なーんだ、嘘かぁ。騙されたー。ほら春陽って絵上手いからありえたし!」
春「悪かったってww後で飲み物奢るよ」
春陽は自分が漫画家と言うことを皆に話していないのを逆手に本当を嘘にした。
──休み時間。次は夏音が出た。
夏「秋羅君。ちょっといいですか?」
秋「ん?なに?」
夏「今まであなた方には悟られないようにしてましたが、面倒になったので言っちゃいますね」
秋「え、あぁ。う、うん」
夏「私、喧嘩すると口調が変わるんですよ。意味、分かります?」
秋「その…夏音って喧嘩するんだ」
夏「ふふっ。すみません。あなた先程の春陽君への反応が面白かったので」
秋「もしかしてまた騙されたの?」
夏「はい」
また騙されたことに気づいたポカンとした秋羅に夏音はきれいな笑顔でそう答えた。
秋「ビックリしたー。俺てっきり夏音が裏で番長やってんだと思った!」
夏「そんなわけないでしょう」
そこで鐘が鳴り、秋羅は席へ戻っていった。
夏「(たまに秋羅は鋭いところあるよな。ま、ごまかせたからいいけど)」
──昼休み。皆で庭の木の下で弁当を食べていたとき、今度は冬麻が動いた。
冬「あのさ、これ聞いてほしいんだ」
そう言って携帯から流したのは新しい野球アニメのオープニングを他の人が歌ったもの。
冬「これ歌ってるの俺なんだ」
春「これって…ジマだよね?」
冬「そう」
秋「ちょ、ちょっと待って!今日なんか3人ともすごいこと言うけど…」
冬「まさか先に秋羅にばれると思わなかったな」
夏「どういう事ですか?」
冬「たぶん秋羅が言いたいのは、俺のもエイプリルフールの嘘でしょ、ってこと」
春「まぁ、冬麻のは嘘だってすぐ分かるよな。声似てねぇもん」
冬「うん。嘘だよ^^」
秋「まさか今日皆に騙されると思わなかったな」
春,夏,冬「「「え?」」」
秋「朝に春陽から実は漫画家だって言われたし、休み時間に夏音からいきなり喧嘩してるって言われて、そんで、今」
春「お前すげぇな」
夏「単純なのはいつもですが…」
秋「だって皆の嘘ってやけにリアルでできそうだったんだもん」
冬「それでも騙され過ぎ」
───キーン、コーン、カーン、コーン
春「あ、チャイム」
夏「ほら、まだ授業があるので頑張りましょう」
冬「もう嘘つかないから大丈夫だよ」
秋「うん!あ、遅れるから急ごう!」
そして4人は食べてしまった弁当を片付けて、教室に急いだ。
それから3人は本当に秋羅を標的にした嘘はつかなかった。
──そして放課後。
午後の授業中に秋羅は自分なりに3人に仕返しするために考えた嘘をつく。
秋「あのさ!」
春「ん?」
前を歩いていた3人を秋羅は呼び止める。
秋「俺も嘘考えた!!」
春,夏,冬「「「ぷっ、あははは!」」」
夏「秋羅君、それでは嘘になりませんよ」
春「やっぱ秋羅面白いわ!」
冬「嘘がつけない性格なのは分かるけど、ここまでとはね。で、どんな嘘?」
秋「えっと、俺実は人じゃあないんだよね、って」
春「はいはい、お前どっからどう見ても人間だから」
夏「でも秋羅くんらしいじゃないですか」
冬「ははっ、そうだね」
秋「さてと!嘘もついたし、帰ろう!」
そして、いつもどおり他愛ない会話をして帰る。
そんな4人の考えていることは同じだった。
「「「「実は今日の嘘は本当なんだよね」」」」
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