Saisons | ナノ

残された希望

グランドに響く金属音。
暑い夏の日差し。
それが俺、
いや、俺ら野球部のステージだ!

とか、かっこよく言ってみたけど…。
今の状況はかなりヤバイ。

9回表。本校2、相手校3。
今攻撃の俺らが点数をとれないとここで終わってしまう。

二塁と三塁には仲間がいる。
俺が打てば1点は入る。

応援からはあいつらの声が聞こえる。
これは絶対に打たないとな。
俺はピッチャーに集中する。

ピッチャーが振りかぶる瞬間、俺の手に力が入る。



結局俺は打てずに今年の甲子園、決勝は負けた。

秋「みんな…。先輩も…。もう少しだったのに、俺が打てなくて…」

先輩「気にすんなって!お前はここまで頑張ったよ」

後輩「そうですよ。俺たちは来年も頑張りましょう!」

秋「あ、ありがとう。俺来年のために頑張ります」

こんな優しい先輩と後輩に俺はただ悔しい気持ちを押し殺して、心配かけないように笑顔を見せた。

それから、グランド整備と閉会式が終わり、俺は応援に来ていた春陽たちのところに行った。

春「試合、お疲れ。来年は頑張ろうぜ」

秋「あぁ」

俺は笑顔を崩さずに言った…
はずだったけど、こいつらは敏感みたいで。

夏「ですが悔しいのではないですが?人一倍負けず嫌いのあなたの事ですから」

冬「そうだよね。ほら、今ここ俺らだけだし、泣いた方が次頑張れるって!」

夏音や冬麻はそういって俺に微笑んでくれる。
もちろん後ろでは春陽も「泣いてもいいんだ」と言ってるように微笑んでくている。

俺は彼らの優しさに堪えていた気持ちを押さえきれず、疲れるまで春陽たちの腕の中で泣いた。



それから、俺らはまた毎日厳しい練習をして次の年の甲子園は優勝した。


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