Saisons | ナノ

リセットボタンを押しますか?

――あきらは いえを とびだした


秋「はぁ…これからどうしようかなぁ」

兄と小さい時からよく喧嘩をしていた秋羅。
今回はどうやら勢いで家出をしたらしい。


――めのまえに くろねこが あらわれた


秋「お前怪我してんじゃん。ほらおいで。治してやるから」

現れた黒猫は怪我をしていた。
秋羅はそれを治そうと手を伸ばすけど、警戒して近づいてくれない。

そこに冬麻が通りかかった。

冬「あれ?秋羅くんどうしたの?」

秋「兄貴と喧嘩して家出。それよりあいつの怪我治したいんだけど警戒されてんの」

秋羅が猫の方を指差すと、冬麻はそちらを向いてしゃがみこむ。

冬「ほら、おいで」


――けがをした ねこが くわわった


公園から冬麻の家に来た。
いまだに秋羅には警戒をしていて、応急処置が出来そうにない。
しかたなく秋羅が冬麻に応急処置の仕方を教えて、それを冬麻が言われた用にやることになった。

しかし、秋羅はこれを後悔した。

秋「冬麻ってさ意外と不器用なんだな」

冬「動く物は苦手でさ」

黒猫の怪我をしたところに巻かれた包帯はボロボロだった。



――くろねこの けがが なおった



冬「よくなったみたいでよかったね」

秋「う、うん…」

あれからしばらくしたら黒猫の怪我はすっかり良くなっていた。
だけど、秋羅の様子は浮かないままだった。

冬「…なんかあった?」

秋「あー、うん。あの黒猫飼える奴いなくてさ。このまま捨てたくねぇし…。春陽とか夏音とか他にも聞いたんだけどさ、無理だって…」

冬「そうだったんだ…でもごめんね。俺の家でも変えそうにないんだ」

秋「またいた場所に返さないとだめかな?」

拾って、怪我を治して。
ここまでして、また捨てる。
そんな無責任なことをするくらいなら、見なかったことにしておけばよかったと。

もしも、寝るという行為がゲームに例えると『セーブ』なんだとすると、秋羅は黒猫に会う前にリセットしたいと思った。



――リセットボタンを押しますか?

 はい
⇒いいえ



リセットしても何も見捨てられない秋羅は、そのボタンを押す勇気はない。


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