Saisons | ナノ

人と人

昔、どこかの誰かから聞いたのか、なんかの本で読んだのか忘れたけど、
『人は人に支えられている。決して孤独ではない』
っていうのは覚えている。

ときおり俺はそれを思い出して、支えにいていた。
それは俺自身、どこかの誰かに似ている形をしていても孤独だと知っているから。

−−−−−俺と同じ人など誰一人いない

秋「誰かの言葉だった気がするんだけどなー」

春「何が?」

秋「いやーなんとなく覚えてる言葉がね本とかで読んだやつじゃなくて、誰かから聞いた言葉のような気がするんだよな」

春「へー」

へー。って聞いておいてそれだけ。
春陽ってたまに踏み込み過ぎないようにするところがあるような。
変なとこで興味湧く時もあるし。

春「それで?」

秋「え?」

春「その言葉、なんなのかなーって気になって」

秋「あ、あぁ。えっとさ……人は人に支えられている。決して孤独ではない。……て」

春「ああー」

秋「え、何その反応」

春「や、なんとなく。それ言った人秋羅のことよく見てんだなって。お前ってたまに俺らにも壁作るじゃん?こーさ、水と油見ないな?少しも混ざらない感じ」

秋「そんなことないと思った」

春「……まぁ、誰でもいいんじゃない?俺は秋羅に支えられている、秋羅は俺らに支えられているんだから。それが誰が言ったかなんて。その言葉さえ覚えてれば」

春陽は最後に「その言葉さえ覚えてるだけで、その人はいいと思う」と言って、儚いような、優しいようなそんな笑顔を俺に見せた。



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