Saisons | ナノ

気付いてくれる

朝から様子がおかしかった。
いつもなら元気に「おはよう!」と言って後ろから飛びついてくるのに、今日はそれがない。

夏「どうしたんですか?元気がないですね」

冬「そう、かな?」

そんなに元気がないように見えるのかな?
あぁ、それもそうか。
もうあれは俺の中では日常になっていて、さみしいのか。

夏「そうですよ。それに気付いてますか?」

冬「何が?」

夏「冬麻くん、ずっと彼のことを見てため息ついていましたよ」

冬「……え?マジ?」

コクりと頷く夏音。
うわぁ……
あいつ、それ気付いてんのかな?
だとしたら俺変人じゃん。

夏「それで、なにがあったんですか?」

冬「いや。なんでもないよ。って言うか俺にもわかんないや」

そう言って夏音に向かって笑いかけてみるけど、たぶんうまく笑えてない。
だけど夏音のことだ、気付いていて無理に聞かないことにしたんだろう。
「そういえば」といって別の話題をふった。



それから昼休み。
いつものように、俺たちは一緒に昼食をとっていた。
でも、やっぱりあいつの様子がおかしい。

少し顔が赤いような気がして、額に手を置いてみる。
イキナリだったから驚いて肩をビクッとさせる。

冬「ごめん。こいつ保健室連れていく。荷物よろしく」

夏「えぇ、わかりました」

あぁ、これ夏音は気づいてるな。
ま、そういうやつか。



冬「で、なんでそんな熱で学校に来たの?春陽」

春「なんで?」

冬「あー……いつもさ、朝飛びついてくるじゃん?あれがなかったから気になってた」

春「それで、さっき熱計ったんだ」

縦にうなずいた。
このまま喋ってるのも春陽の身体に良くないと思って寝かせる。

冬「放課後までゆっくり寝てなよ。俺家まで送っていくから」

春「うん。おやすみ」



それから、休み時間に様子を見に来てたけど、ゆっくり寝た分楽そうに見えて、放課後にはほとんどいつもどおりの春陽になっていた。

冬「これからは無理すんなよ?」

春「はーい。でも、無理してても冬麻が気付いてくれるんだろ?」

冬「しかたないからね」

俺たちはそれからも軽く冗談を言いながら、春陽の家まで送っていた。
そして、土曜、日曜ってゆっくり休んで、月曜日にはいつもどおりの春陽になって登校してきた。

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