心配させないでください
いつも一緒にいる印象が強い俺達だけど、たまに喧嘩もするわけで…
今は秋羅と夏音が喧嘩している。
隣の席なのにお互い反対を見て、まるで子供の喧嘩。
冬「ねぇ…朝来たらこうなってたけど、どうしたの?」
春「さぁ?詳しいことは分らないけど、聞いた話だと秋羅が悪いんだよね」
どうして?って冬麻は聞くから、俺は秋羅の頬を指さす。
先には大きな絆創膏。
秋羅ならつけてても野球頑張ってるんだろうなって、そう思うけど、そうじゃなかったらしい。
春「あれさ、他校と喧嘩してつけたんだってさ。それで夏音が心配したんだけど秋羅が『関係ない』って言ったのに夏音が怒ったんだって」
冬「あー、そうゆうこと」
やっぱ冬麻はおれらの母さんみたいな存在だ。
少しの情報で大体のことを理解してくれる。
本人に言ったら怒られるだろうなぁ。
ちょっとだけ考える仕草をして冬麻は夏音と秋羅の間に入った。
冬「2人ともちょっといいか?」
夏「なんですか?」
秋「なに?」
うわー。2人とも機嫌悪いなぁ。
それに動じない冬麻はすごい。俺なんて声すらかけれなかったのに。
そこが冬麻のいいところだよなって感心していると、2人にデコピンをした。
2『いった〜!』
冬「あたりまえ。痛くしたんだから」
……あっ!
これ漫画のネタになるとか考えてる場合じゃなかった!
冬「話は聞いたよ。今回の喧嘩は秋羅が悪い。野球部の秋羅が喧嘩してもし怪我でもしたらどうするの!」
そこなのか?冬麻。
まぁ野球部のエースだし怪我されたら困るけどさ。
2人とも間抜けた顔になっちゃったじゃん。
夏「冬麻くん?私の怒っているのはそこじゃなくて……そこで間違いではないんですけど……」
えっと…って困ったようにする夏音。
しかももう怪我してんじゃん。
春「冬麻、そこじゃない」
ん?と首を傾げる。
春「そこじゃなくて、夏音は怪我した秋羅を心配したの。で、怪我の原因が喧嘩だったから怒ってんの。そうだよな?」
夏「はい。春陽くんの言うとおりです」
チラっと秋羅の方を見てみると俯き加減で、悪いことしたなって表情をしていた。
冬「ほら、あやまろ?」
トントンって冬麻が秋羅の背中を押す。
頭をあげて目でありがとうといって夏音の方にくる。
秋「その……喧嘩して悪かった、な?」
なんで最後疑問系!
夏「今度から喧嘩はさけてください。いいですか?」
秋「………はい」
俺より少しでかい秋羅が小さく見えて、夏音からは黒いオーラが見えた気がしたけど、気にしないでおこう。
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