不思議なこと(3)
俺は二人に頼んで、夏音が乗った救急車に一緒に乗った。
病院について、夏音の傷を見ると医者は驚いていた。
それもそうだ。
頭を窓ガラスで切ったというのに、傷が完璧にふさがっているんだから。
「君たちなんかした?」
冬「俺は何も……。いつの間にか寝ていたみたいで」
「そうか。まぁ、これならあと少しで目を覚ますと思うよ」
冬「良かった……」
ホントは緊急治療室に行く予定だったみたいだけど、これなら必要ないと一人部屋の病室に夏音は運ばれ、俺は夏音が起きるのを待つ。
話相手が誰もいないから、ついウトウトしてう。
冬「歌おうかな。小さい声なら大丈夫だよね」
今歌える曲を全部歌っても夏音は起きない。
医者はすぐに起きるっていったのに……。
そういえば、もう一曲だけ覚えているモノがある。
アニソンだっけ?ちょうど今の俺達みたいな感じのアニメだった気がする。
なかなか目を覚まさない親友を心配して、幼い頃によく2人で歌っていた曲を歌ったら目を覚ましたって聞いた。
この歌を歌って夏音が目を覚ましたらほんとにアニメみたいだ。
冬「♪〜〜〜〜〜」
ちょっと長めの曲で、しばらく歌っていると夏音が少し動いた。
それからゆっくりと目を開けていつもの微笑み。
夏「その曲素敵ですね」
冬「『素敵ですね』じゃないよ!心配したんだからね!?」
夏「すみません。でも大丈夫ですよ?」
冬「うん。良かった……」
安心して俺は夏音の膝の上で寝てしまった。
夏音が頭をポンポンと撫でて「本当に大丈夫ですよ。なぜなら−−−−」そう言ったのが聞こえたけど、その後何を言ったのかちゃんと聞こえなかった。
夏(なぜなら秋羅君が治してくれたから)
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