こういうのもいいかもしれない
夏休みの中盤。
8月にはいろんな所で花火大会が行われる。
ここにも1人行きたいと喚いてるやつがいる。
秋「いいじゃん!なぁ!いこうよ」
正直なところ俺はあまり人混みは得意ではない。
だから3人で行ってこいと言ったが、秋羅はどうしても4人で行きたいらしい。
夏「ですから、人混みが苦手な私がいたら皆さんが楽しめないと…」
春「俺等そんなこと気にしないからさ、夏音と一緒に遊びたいんだ」
冬「ほら、俺達なにかと用事があって全員一緒にってことないでしょ?花火大会がちょうど皆集まれるからさ」
確かに冬麻の言うことは正しかった。
それは俺だって皆でそろって遊びたいって思うけど、人混みは苦手だ。
だけど、今度いつ揃うか分からないなら後悔しないように我慢をしようと思った。
夏「仕方ありません。そこまで言うなら行きますが、出来るだけ込まない場所を探しておいてください」
秋「そういうの得意だから任せといて!!」
ホント、こいつには俺は色々敵わない。
そして花火大会の日が来た。
予想以上の人混みのなか、俺は待ち合わせ場所で1人少しイライラ、それに混じってときどき不安な気持ちで待っていた。
夏「あいつらが誘ったくせに来るの遅ぇってどういう事だよ」
このまま来ねぇってことはねぇよな…。
冬「ごめん!遅くなって!2人が別のとこで寄り道しててさー」
春「だってさ〜目の前に好きなアニメのグッズ売ってあんだもん」
あぁ。それで中に入ったら秋羅がいて…
だとしたらそこになんで冬麻が現れて、この2人を連れてくるんだ?
冬「だと思って行ってみてよかったよ」
夏「あぁ、そういうことでしたか。それでしたら納得です。」
秋「それじゃあ、行こう!いい場所あるんだ!」
秋羅は俺の手を取り人混みをわけてある場所へと向かった。
ついた場所は俺達が卒業した小学校だった。
今ではもう廃校になっていて誰もいない。
いつの間にか手を放していた秋羅は勝手に小学校の中に入っていく。
冬「秋羅…お前ここ…」
夏「屋上ですね。それよりだいぶ会場から離れていますが、見えるんですか?」
秋「それがキレイに見えるんだ♪俺何回かここで見てるから!」
いつの間にかあたりが暗くなっていて、遠くからバンバンッと音が聞こえて、音の方を見ると、花火大会が始まっていた。
春「おぉ!始まった!俺ちょっと向こうで写真撮ってくる!」
そう言って春陽は写真を撮りに走った。
夏「私たちも加賀美くんのところに行きましょう」
冬「うん。そうだね」
しばらく何も食べずに花火を見ていると、少し腹が減った。
冬「もしかして夏音お腹空いてる?」
夏「どうしてですか?」
冬「夏音ってお腹すくと眉間に皺が寄るからね」
夏「気づきませんでした…」
それを言うと冬麻はどこからか弁当を取り出した。
まったく。いつでも準備がいい。
冬「弁当作って来たから、みんなで食べようか」
秋「弁当!?」
春「冬麻の弁当美味しいから食べよー」
いつの間にか春陽と秋羅も来て、『花より団子』の状態で弁当を囲んだ。
騒がしいのが苦手だと言ったけど、こいつらと一緒にいるとそれも気にならないような気がした。
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