てんもんぶ | ナノ


無事、天文部の全員の課題が終わり、合宿最後の夜。
俺たちはやっと活動らしい活動をしている。

「やっぱこういうところで見る星ってきれいだね」
こういうとき、決まって最初に言うのは時雨。
たしかに、いつもプラネタリウムで見るのと比べ物にならないくらい綺麗だと思う。
「そうだね。だけど、ここで見るので最後かな」
次に続いた琴葉の言葉にみんなが驚く。
「最後ってどういうことよ」
こういうとき、きっぱり聞く瑠李。
気まずそうな空気の中、答える。
「昨日ね。急にお母さんから連絡が来て、夏休み明けに転校するって」
「ばぁさんの体調か?」
「うん」
琴葉のばぁさんは夏休み前になって急に体調を崩したらしい。
それで、もしもばぁさんが大きな病院に入院することになったら、二人は転校するって話をしていたらしい。
それを俺はたまに相談されてて知っていたけど、時雨は知らなかったのか。
「おばあちゃん大きな病院にいかなくちゃいけなくて、それで神奈川に転校するって」
琴葉は笑っていて、だけど、それは今すぐにでも泣きそうな笑顔。
それを見ていると、苦しくて、俺も泣きそうになる。


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