てんもんぶ | ナノ


side瑠李

昨日、時雨の私服初めて見たな…
そりゃあ、今まで恥ずかしくて遊びに誘われても断ってたけど、どうしても転校のことが気になっちゃって待ち合わせしちゃったし。
それもいきなり2人きりで緊張したよ…。
「ホント。自分のこといやになる」
家に居ても暇だから、近くの公園でボーっとして、ポツリと呟く。
「自分の事嫌いな奴を他の誰かが好きになると思うか?」
「ちょっ!いきなり何よ!」
声が聞こえた方を見てみると、いたずらっぽい笑顔をした海仁がいた。
「別にー?通りかかったらお前が変なこと言うからさ。テレビの受け売り言ってみた」
「通りかかっただけなら隣に座らないでくれる?」
「ほーんと昔から素直じゃないよなー。昔男とケンカして骨折してたときも腕庇いながら無茶したろ?」
そんなことなんで知ってるのよ。
あの時はあそこにいなかったじゃない。
「なんで知ってんの?って顔してる」
「そりゃあね」
「それもそうか。わりーけど、あの時あそこにいたんだわ。でも昔の俺ってスッゲー弱かったじゃん?だから出ていけなくてさ」
だけど、あの時はすごく怖くて、どんなに弱い海仁でも傍にいてほしかった。

そして、その少し悲しかったって言う気持ちをいつまでも引きずっていた今年の春。
あの時と同じ状況で男子とケンカをした時、目立つ綺麗な金髪の男の子が止めに入ってきた。



その時の男の子が時雨だった。


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