てんもんぶ | ナノ


「どうしたの?」
気がつくと隣にいたことはの頭を撫でていた。
「あ、いや。……お前はどうしたいんだ?」
「そりゃあ、みんなと一緒にいたいよ……」
それが聞けてよかった。
「よし。これでこの話は終わり。今は天体観測な?」
どれだけたっても重苦しい空気が苦手な俺は逃げ出して、天体観測を始める。
昔からまわりを明るく照らしていた琴葉。
こういう空気になっても琴葉が明るくしていて、その明るさが好きでいた。
その琴葉が落ち込んでいるとき、どうしていいのか俺は分からない。
「ほら!俺ら天文部なんだから星見るぞ!」
一人。明るく照らす星が増える。
「むしろ今日まで一回も見てない方が不思議よ」
そしてもう一人。
『でも今までの全部思い出だよ』
そしてもう一人。
「そうだね。毎日が早くて楽しかった」
もう一人。
琴葉が俺を照らしてくれたように、みんなが琴葉の心を照らす。
「琴葉。今を楽しめばいい。楽しい思い出をたくさん作ればいい」
気づけば琴葉は泣いていたけど、俺たちはそれに気づかないふりをして気がすむまで泣かせた。



泣き終わったら、みんなで想い出をかたりながら星を見ようか。



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