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Diary


 
ある日、化学の授業で俺と夏音と同じ班になり、一緒に実験をした。
もちろんクラスの他のやつも一緒。
その日はガスバーナーを使う実験。
ガスバーナーなんて、中学の時に散々使わされて慣れている。

それにしてもうるさい。
どっちがガスとか空気とか。
それくらい普通覚えているものだと思う。
「にしても、うっせぇな。そのうち火傷すっぞ、ってな?」
唯一同じ班の夏音に話しかける。
「えぇ。というより、あなたがそういうことを言うのは意外ですね。
もっと優しい方かと思っていました」
「そうか?思ったことそのまま言ってるだけなんだけど」
そう、ウソをつくのはあれだけ。
そう決めている。

うるさいのをガマンして先生の声を聞こうとしていたら、隣から舌打ちが聞こえた。
「どうした?」
「あー。キレてもいいですか?そろそろ限界なんですが」
「お、おぅ………」
俺が返事をすると、夏音は一度だけ溜め息をついて、次に深く息を吸って叫んだ。
「お前ら騒ぎ過ぎた!!!」
その瞬間、教室が静まりかえった。
俺も夏音が本当にキレると思わなかった。
「あなたたち教師の話はきちんと聞きなさい。聞かないで怪我をしてもそれは、あなたたちの責任ですよ?」
そのあとに放った言葉はいつもの夏音と同じでそれがまた怖かった。

その週はクラスの全員が授業を静かに真面目に受けていた。

でも、その週だけで、次の週は元に戻っていた。
チラッと夏音を見てみると眉間にシワがよってキレることにガマンしていることに気がついて、またキレる前に俺が注意した。
「なぁ、少し静かにしような?俺……俺も真面目に授業受けたいんだわ」
「お、おぅ……すまん」
「分かればいいんだ」
それからもう一度夏音を見ると、目があって手話で「ありがとうございます」と言われた。
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