Diary
**
グランドに響く金属音。暑い夏の日差し。
それが俺、
いや、俺ら野球部のステージだ!
とか、かっこよく言ってみたけど…。
今の状況はかなりヤバイ。
9回表。本校2、相手校3。
今攻撃の俺らが点数をとれないとここで終わってしまう。
二塁と三塁には仲間がいる。
俺が打てば1点は入る。
応援からはあいつらの声が聞こえる。
これは絶対に打たないとな。
俺はピッチャーに集中する。
ピッチャーが振りかぶる瞬間、俺の手に力が入る。
結局俺は打てずに今年の甲子園、決勝は負けた。
秋「みんな…。先輩も…。もう少しだったのに、俺が打てなくて…」
先輩「気にすんなって!お前はここまで頑張ったよ」
後輩「そうですよ。俺たちは来年も頑張りましょう!」
秋「あ、ありがとう。俺来年のために頑張ります」
こんな優しい先輩と後輩に俺はただ悔しい気持ちを押し殺して、心配かけないように笑顔を見せた。
それから、グランド整備と閉会式が終わり、俺は応援に来ていた春陽たちのところに行った。
春「試合、お疲れ。来年は頑張ろうぜ」
秋「あぁ」
俺は笑顔を崩さずに言った…
はずだったけど、こいつらは敏感みたいで。
夏「ですが悔しいのではないですが?人一倍負けず嫌いのあなたの事ですから」
冬「そうだよね。ほら、今ここ俺らだけだし、泣いた方が次頑張れるって!」
夏音や冬麻はそういって俺に微笑んでくれる。
もちろん後ろでは春陽も「泣いてもいいんだ」と言ってるように微笑んでくている。
俺は彼らの優しさに堪えていた気持ちを押さえきれず、疲れるまで春陽たちの腕の中で泣いた。
それから、俺らはまた毎日厳しい練習をして次の年の甲子園は優勝した。
[ back to top ]