「ウィルさん、ウィルさん、大変です」
ときめきで死んじゃいそうですと言ったなまえを、ひきつった顔をそのままに見下ろした。
「安心しろ、ときめきで死んだ奴は人類史上一人もいねえ」
「でも愛に殺された人はいっぱいいます!」
「そいつはときめきで死んだとは言わねえ」
「じゃあ私がときめきで死んだ人類初の人間になっちゃうかもしれません!!」
貴方が輝きすぎているからと言って一人で顔を真っ赤にさせて悶え始めたなまえに深いため息をついた。この女の頭は腐っている。それか人食いアメーバに脳を全て食われて単細胞生物並みの思考しかできなくなっているに違いない。
「ウィルさん、ウィルさん!」
「…なんだ」
「大好きです!!」
そう言った後にすぐにひとりで奇声をあげて真っ赤になった顔を両手で覆ったなまえがまた「ウィルさんの素敵パワーにときめいて死んじゃいそうです」と言った。なまえとは、なんて騒がしく、そして愚かな女なのだろうか。思考回路はすでに末期、救いようがない。
(Versuch mal, ob du es kannsst.)
ああだけど畜生、不快に思わねえなんて俺も相当末期だ。