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「むっ、無理ですっ」

そう言った瞬間、彼の眉が盛大に顰められた。一体何故、と考えてすぐにその理由に気がつく。好きだという言葉の返事が無理というのは随分とひどいものではないか。たとえ意図したことがそのままの意味でなかったとしても。だからこそ私は慌てて言い直す。
「私は他の女官のように美しくありません!それに、器用ではありませんし、頭がいいわけでもありません…!こんな私が何故貴方様に愛される資格があるというのですか!むぐっ」

そう言った瞬間顔面を鷲掴みにされた。なんという扱い。やっぱり好きだというのは彼なりのジョークで「この女何本気にしているんだよ、私がお前みたいなやつ好きなわけないだろ、ジョークだ、ジョーク、ふんっ!」ってこんな感じなのか。ああやっぱりそうかとわずかにショックを受けたとき彼が口を開いた。指の隙間から見える真っ黒な髪と真っ赤な目がひどく美しい。

「私の認めた存在をお前は否定するか」
「だっ、だって、え」
「黙れ、何も言うな、何も考えるな、黙って愛されていろ。だが胸を張れ、私がお前を認めてやる。ふん、光栄に思えよ、教皇たるこの私に認められる栄誉を誇るが良い」
「あの、でも、私みたいなやつのどこが良いのですか」

その言葉に、彼がぴくりと眉を動かし、そして顔面から、ようやく手が離れた。

と思った瞬間顎に手をかけられ上を向かされた。真っ赤なルビーのような目と視線が絡み、そして彼は「ただのひよっこ小娘かと思っていたが、いつの間にかこの私を惹きつけてやまぬ。お前が傍にいないと落ち着かん、お前が笑っていないと不快だ、お前を傍に置いておきたい、ずっと、そうそれこそ永遠に、この私が!お前ごとき小娘を、だ。これほど笑える話があるか!」、そう言うなり私に口づけた。かさついた唇を感じて、急上昇した体温を感じながら私は「お前の責任だ」と言った彼の低い低い声を聞いていた。

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