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まず初めに頭に思い浮かんだのは、何故こんなにも近くに彼の真っ赤な瞳があるのだろうということだ。そして次に疑問に思ったのは、何故唇に何かの感触を感じるのかということ。そしてさらに次に不思議に思ったことは、この状況を接吻と呼ぶものだと気が付いた時である。それ自体が私にとっては不思議であり、疑問の塊だった。何故、何故。どうして私はデスマスクさんとキスをしている?どうして彼は私にキスをした?何故、何故。

「目くらい瞑れよ」
「はあ、状況がよく理解できなかったもので」
「お前の妙に冷静なところは嫌いじゃないぜ」
「それは、どうも?」
だがともかくそんなことはどうでもいい。私が今求めているのは状況説明だとはっきりとデスマスクさんに告げれば彼は楽しそうにくつくつと笑った。彼はすぐに身を翻して歩き始めたから私たちの間には必然的に距離が開く。それがだんだんと開いていくのをぼんやりと眺めながら、ああこの答えは教えてくれないのかと考えた。だがそれは間違いで、数メートル行ったところで彼が振り返ってにやりと笑みを浮かべた。

「好きな女にキスするのに理由が必要かよ、なまえ?」

好きな、女。好きな女と彼は言った。はあ、なるほどそういうことか。好きなのね、…誰が?誰を?

「…え?」
「じゃあな」
「え、ちょ、デスマスクさん!!」

それはどういうことだ、もっと詳しい状況説明を求むと叫んだ私に彼は面白そうに笑った。

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