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「ベアト、痛いよ」
「ごめんなあ、なまえ」
あんまり悪いと思っていないでしょと言った私の言葉に彼女は笑った。そうしてさらにぐるぐると私の両手に茨を巻いていく。棘が、刺さる。ぐるぐるぐさぐさ、ああ痛い。

「何をしているの、ベアト」
「見たままだぜえ?」
「うん、私の両手をぐるぐる茨で縛っているのは分かるよ。…でもね、意味が分からないから何をしているのと聞いているのよ」

その言葉にベアトがぴくりと体を震わせた後に顔を上げた。金色の美しい髪がさらりと額にかかり、青い瞳に私が映し出される。「なまえ」「なあに、ベアト」「なまえはずっと妾と一緒にいれば良いんだよ」そんな身勝手なという言葉を私の口が吐き出すより早く、彼女は姿を消した。あとに残されたのは、私一人。

両手にはぐるぐる巻きの茨。これじゃあ何もできない。一人で食事もシャワーも難しい。実に不便だし、そもそも棘が肌に食い込んで赤い薔薇と同じくらい赤い雫が手や服を汚すんだ。痛い。だが両手が使えない私はこれを自分で外すことができない。
ぐるぐるぐさぐさああ痛い痛い。ねえベアト早くこれ、外してよ。(ずっと妾といればいいんだよ)


Das verstehe ich nicht.
(これさ、いつ外してくれるのかな?)

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