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あの子はわたしをおかしい、間違っていると言う。
でもわたしは自分のしたことをおかしいとも間違っているとも思わない。だってそうでしょう?わたしはただ愛を示しただけなのだから。一体それの何が間違っている?
わたしが男だったら良かったのにね。そうしたらもう二度と忘れられないくらいにわたしをあの子に刻み付けて自分のものにできたのに。友人という関係ほどあやふやなものはないと思う。わたしは彼女を愛している。彼女もわたしを好きだと言った。けれどわたしたちの愛と、好きには決定的な、しかしそれでいて境界のはっきりしない違いがあるのだ。
彼女はいつかわたしより優先する男を作るのだろう。そうしてわたしには決して言わない、愛しているという言葉をいとも容易くその口にするのだろう。
それが許せるというのか。
それを許せというのか。

ねえそうして離れていくものなら羽を引き千切って鳥籠にでも押し込めてしまったほうが良いと思わない?
わたしだけを見ていれば良い。わたしだけを呼べば良い。わたしのことだけを考えていれば良い。泣きたいのなら泣けばいい。笑いたいのなら笑えばいい。わたしは貴女がいるのなら何をしようと止めはしないわ。二人だけの箱庭でずっとずっと愛し合えるのだもの。ちょっとしたおいたくらい、大目に見てあげなくちゃね。


「好きよ、愛しているわ、なまえ。ずっと一緒よ」


大切に大切に可愛がってあげる。一生逃がさない。けれど羽を奪って鳥籠に閉じ込めるかわりに、貴女に精一杯の愛を上げるから許してね?ねえ、それでいいでしょう、なまえ。
彼女の黒い絹糸のような髪を一筋とって口づければ、彼女はぽろりと涙を零す。感無量ってやつ?嬉しいわ、そんなに喜んでくれるなんて。なまえ、なまえ、貴女が幸せなら私も幸せよ。その日、彼女はぽろぽろと、とどまることなく伏せた目から涙を零し続けた。(ああ、なんて幸せなのかしら。)



(いやよ触らないで)
(私の足を返して、)


(ねえ、私の友達だった魔女)

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