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なまえと自分が違うというのは最初から分かっていたことだった。まず性別、次に国籍、それから母国語、性格、趣味、あげていけばキリがない。それほどまでに私と彼女は違う。彼女は私に比べればとても小さいし、細い。掴んだだけで折れてしまうのではないかと不安になって、それを話した時、なまえはおかしそうに笑って「ありえない」と言ったがそれでも不安だった。

そっと頬になまえの手が触れる。
そのまま首に手を回され、ぎゅうと抱きしめられた。また一つ気付いた彼女と私の違い。なまえは子供体温で、とてもあたたかい。冬の冷えた部屋の中でその温もりがひどく愛おしく感じて背中に手を伸ばす。抱きしめたら、折れてしまうのではないかと一瞬不安になったが、それに気が付いたらしいなまえがくすくすと笑って言った。「抱きしめてよ、サガ」「だが、」「大丈夫よ、折れないから」そう言ってもう一度笑ったなまえに覚悟を決めて抱きしめた。

「ね?」
「…ああ」

抱きしめられただけで折れたとしたら私は聖域で生活なんてできないとけらけらと笑ったなまえが私の顔を覗き込んでくる。黒曜の瞳に自分が映り込んだのを確認したのとほぼ同時に彼女が口を開いた。

「サガ」
「なんだ、なまえ」
「サガ、好き、大好きよ」
結局私がどれだけのことを考え、何を不安に思い、自らの意思を否定しようとしたところで、そう言って柔らかく笑うなまえの顔を
「私は愛している」
その事実を変えることはできないし、否定することができないこともまた、事実なのだ。


苦悩した
(それでも想いは変えられない)

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