「見てください、ムウさんが作ったタコさんウィンナーと私が作ったタコさんウィンナー」
「タコと火星人?」
「いつかデスマスクさんに言われたような事を言わないで下さいよ、アイオロスさん!」
「ムウは手先が器用だからな。なまえ、気にすることはない。誰が作ってもタコのウィンナーなど火星人に見えるし、そもそもウィンナーはタコにはなりえない。そもそも材料がタコなわけでもないからな。だからわざわざタコに似せる必要などかけらもない」
「いや、そうですけど!その発言はなんか夢が壊れますよ、サガさん!」
「そうかい?」
「事実だろう」
「ほら…、うさぎリンゴとか小さい頃好きだったでしょう!で、食べるの可哀想みたいな…、あ、特にひよこ饅頭とか鳩サブレを頭から食べるかしっぽから食べるかというのは、究極の選択です」
「よく分からないが…」
「ともかくあれですよ、動物の形をした食べ物って可愛いよねっていう話です」
「私は別に食べられればなんでも構わないけれど」
「実際そうですけど、精神的な問題での話です」
「だがそれで可哀想などと言って食べることができなくなってしまっては意味がないだろう」
「うっ…!いや違います、可愛くて食べられないのはひよこ饅頭と鳩サブレです!タコさんウィンナーなら食べられます」
「もちろん火星人ウィンナーもだろう?」
「ぎゃー!タコです、これはタコなんです!!」
「なるほど、突然変異のタコか」
「カノンに聞けば、海界で世界中の海を探し回って見つけ出してくれるんじゃないかい」
「それで、これはどうするんだ?」
「今日のおやつです。タコさんウィンナーと突然変異のタコさんウィンナー」
「認めたのかい」
「いや、もうこの際タコに分類されるのならなんでもいいです」
「そ、そんな泣きそうな顔をするな」
「冗談だったんだよ、なまえ。だから泣かないでくれ」
「泣いてません。目から噴水がでそうなだけです」
「大丈夫、重要なのはこれがタコに似ているか否かではなく、これをなまえが作ったか否かということだ。だから、なまえが作ったのなら火星人ウィンナーだろうがなんだろうが私は食べるぞ」
「アイオロスさん…!!」
「そうだ、なまえが作ったものならばそれが火星人ウィンナーだろうがアメーバウィンナーだろうが私は食べる」
「サガさん…!そうですよね、重要なのはタコに似ているか否かじゃなくて私がつくっ……あれ?おかしくないですか、私はタコさんウィンナーを作ったんですよ!重要なのは似ているか否かでしょう!なんですか、私が作ったか否かって!!それ全然関係ないんですけど!!しかもさりげなく火星人ウィンナーを連呼されていることはノータッチのほうが良いですか!?ていうかサガさん!アメーバウィンナーってなんですか、悪化しています!!」
「随分と長いツッコミをありがとう」
「大丈夫だ、味付けは完璧だから何も心配することはない」
「だからそういうことじゃ…、」
「ところでなまえ、あーんしてくれ」
「いいや、なまえ、こいつにするなら私に」
「なに、サガにするくらいなら是非私の膝の上にのって私に」
「破廉恥な!!恋人前の男女の仲としてそのようなことは許さん!せめて隣だ!」
「いいや、サガ!どうせ膝上でないのなら、隣より正面のほうが良いに決まっている!顔がしっかり見えるだろう、なまえももちろん正面のほうが良いだろう?」
「いいや、隣のほうが良いだろう?」
「隣じゃあーんをしにくい!」
「アイオロス、お前はまだなまえに食べさせてもらうつもりか!そんなことは断じて許さんぞ!!なまえはお前の母親ではない!!」
「じゃあ私の恋人ということで、」
「お二人とも、今年の夏の暑さで頭のネジが宇宙の果てまで吹っ飛んだんですか?」
午後三時の執務室。
「それでどうですか、タコさんウィンナーは」
「ウィンナーだ」
「ウィンナーだな」
「ですよねー」
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