Project | ナノ
 「来週暇?」

 「予定が」

 「ランニングとか筋トレとかでしょ」

 「当然だ」

 「たまには休んでデート行こう、デート、一週間後ね」

 「誰とだ」

 「わたしとアイオリアで」

 「どうして」

 「わたしが行きたいから」

 「何故?」

 「なんでって、アイオリアはわたしと出かけたくない?」

 「そんなことはないが」

 「じゃあ決定だね、ふたりで出かけようね、約束よ」


 それだけいうとなまえはそのままぱたぱたと走り去っていった。変わったやつだ、俺と出かけても楽しくなどないだろうに。女の扱いの上手いデスマスクや彼と親しいアフロディーテと一緒のほうが楽しいのでは。そう考えて、ちくり、いらいら。そもそも来週ってなんだ。7日後。カレンダーを見てその日付に首を傾げる。俺にはよく分からないが、女性にとってこういう日というのは大切なものではないのか。何故俺と過ごそうなどと考えたのかさっぱり分からない。

 「兄さん、14日はなんの日だ」
 「外はバレンタインデーだな、あとふんどしの日とか煮干しの日だと星矢が言っていたぞ」
 やはり、バレンタイン。あとの二つは彼女にとってなんの関係もなさそうなので少なくとも除外して良いだろう。だがそうすると余計に分からなくなって頭は混乱するばかり、なまえとバレンタインのことがぐるぐると絡み合って離れなくなった。一体なんの呪いだ。ごつりと柱に頭をぶつけてみても状況は何も改善せず。ええい、駄目だ、やはり考えるのは性に合わん。悩むのはもう止めだ。結論も、求めるべきものも、もう目の前にある。彼女が好きだ。好きなんだ。デートひとつでほかのことが何も考えられなくなるくらいには。(情けない)(女々しいのは嫌だ)


 分かったら後は腹をくくって、来週きみに想いを告げに行くしかない。

 (引き裂く晴天/背骨様)

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